北海道の自然を訪ねて
礼文・利尻の花めぐり 〜 利尻島周遊 〜
6月12日(土) 晴れ
[ 行程 ]
利尻島・宿 ==> (以後はレンタカーで移動) ==> 姫沼 ==> 鬼脇漁港付近 ==> オタトマリ沼 ==>
南浜湿原 ==>
利尻町森林公園 ==> 富士野園地 ==> 利尻島・宿
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姫沼の逆さ利尻富士 |
[ 姫沼 ]
利尻島は周囲約60kmのほぼ円形の島で、島の周囲を縁取るように県道105号線、108号線が取り巻いている。1日で野草散策をしようと思うとレンタサイクルで移動していたのでは時間が足らないため、レンタカーを利用してめぼしい野草ポイントを見て周ることとなる。宿のある鴛泊(おしどまり)から右回りでの最初の訪問地は「姫沼(ひめぬま)」。この沼は周囲800mの小さな沼ながら、水面に映る利尻山の姿が美しいことから多くの観光客が訪れる。
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マイヅルソウ |
マイヅルソウ |
カラフトダイコンソウ |
カラフトダイコンソウ |
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クルマバソウ |
沼を周遊する散策路に入ると、まずクルマバソウが目に飛び込んできた。花がちょうど満開だったこともあってか、他で見かけるクルマバソウより花が一回りも二回りも大きく感じられた。林床を白く飾るのはマイヅルソウ。この花もいかにも清楚な雰囲気があって好きな花。カラフトダイコンソウは、「北方系のダイコンソウ」という意味で、「ダイコンソウ」は、根生葉が大根の葉に似ていることからの命名。
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シロバナノビネチドリ |
オオバナノエンレイソウ |
オオアマドコロ |
エゾニワトコ |
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リシリヒナゲシ |
リシリヒナゲシ |
オオバスノキ |
クゲヌマラン |
シロバナノビネチドリを普通のノビネチドリの一品種として扱うか別種とするかで迷って、いろいろな野草図鑑を調べてみたところ、双方ともに別の学名がついていたのでここでは別種して扱うことにした。オオアマドコロは初見の花。リシリヒナゲシは、姫沼を出てから道路沿いの砂利の中に咲いているのをみかけた。本来は利尻山の山頂付近でしか見られないが、種を持ち帰って栽培していたものがなんらかの理由で拡散したものと考えられる。オオバスノキも初見の花。次のクゲヌマランと同じく「オタトマリ沼」で撮影したもの。
[ オタトマリ沼 ]
オタトマリ沼は、周囲が1.3kmと、利尻島の中では最も大きな沼である。そのわりには植生が豊かとはいえず、目についたのはほとんどが樹木に咲く花だった。オタトマリとはアイヌ語で「砂浜のある入江」の意味。沼のほとりに立つと利尻山がほぼその全容を見せてくれる。風景写真を撮るには白い雲の一つや二つは欲しいところなれど空は快晴。早朝ならば朝霧に包まれた幻想的な風景に出会うことができるのだがその時刻にはもう遅い。そんなわけで、ありきたりの手法ではあるが樹の梢を配置して変化をつけてみた。
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オタトマリ沼 |
沼の遊歩道を歩いて最初に見つけたのがアキグミ。はじめのうちは名前が分からなかったが、ふと伊豆の下田で見た花と同じであることを思いだした。次のチョウセンゴミシは初見の花。つる性植物で、柔らかな感じの可愛い五弁の花。結局、ここで見た野草で写真に収めることができたのは、オオバスノキ、クゲヌマラン、アキグミ、チョウセンゴミシだけ。もう少しいろいろな花に出会えると期待していただけに、ちょっぴり物足りない気持ち。
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アキグミ |
アキグミ |
チョウセンゴミシ |
チョウセンゴミシ |
[ 南浜湿原 ]
オタトマリ沼から南浜湿原までは目と鼻の先。湿原の南西隅にある小さな沼がメヌウショロ沼。「メヌウショロ」は、アイヌ語で「湧水池のある湾」の意味。南浜の海岸の形状は小さな湾となっており、その傍にある沼(メヌウショロ沼)が湧水池なのかもしれない。オタトマリ沼もメヌウショロ沼も風がなければ沼の水面に「逆さ利尻」が見られるのだが、訪れたときにはさざ波が立っており、風が止まらないかと少し待ってみたがダメだった。
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南浜湿原・メヌウショロ沼 |
沼の岸辺ではミツガシワがちょうど見頃を迎えており、水面に白い花を浮かせていた。沼の周囲の湿原には木道が敷かれていて、一周900mの散策路となっている。背景にはアオモリトドマツの濃い緑が程良いアクセントとなって美しい景観を形作っている。ここは湿原だけあって、オタトマリ沼と比べると花の種類が多く、5月にはミズバショウやザゼンソウも咲く。湿原のいたるところにエゾイソツツジが見られ、どれを撮ろうかと目移りがするほどだった。
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ミツガシワ |
ミツガシワ |
エゾイソツツジ |
エゾイソツツジ |
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ホロムイイチゴ |
散策路を半ほどまで行くと、木陰にはホロムイイチゴが真白な花をつけて咲いていた。「ホロムイ」とは、発見地である北海道岩見沢市の幌向町に由来する名。これだけホロムイイチゴが群生しているのを見るのは初めてのことで、興奮気味に何十枚も写真を撮った。こうした日当たりのよい湿原では、ツマトリソウやミツバオウレンをよく見かける。ここでも散策路脇に初夏の陽光をいっぱい花弁に受けて輝いていた。
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ツマトリソウ |
ツマトリソウ |
ミツバオウレン |
ミツバオウレン |
[ 利尻町森林公園 ]
沓形港の少し東南に利尻町森林公園がある。自然の森林を活かした公園内にはキャンプサイトがあり、バンガローやバーベキュー施設が併設されている。また、園内には野草や樹木、野鳥の観察をするためにさまざまな散策路が設けられている。園内はかなり広く、散策路めぐりをするには半日はかかりそう。訪れたときには思っていたより花は少なかった。エゾキケマン、オオツリバナは初見の花。下欄のワタスゲはメヌウショロ沼で撮影した花。
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ワタスゲ |
ワタスゲ |
オオバナノエンレイソウ |
エゾキケマン |
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タンポポの綿毛 |
タンポポの綿毛 |
オオツリバナ |
シロバナノビネチドリ |
宿に戻って夕食を終え、空を見上げたら曇り。今日の夕陽観望は中止だそうで、昨日見れたのは幸運だった。今回のような長期旅行では、就寝前に当日撮影した画像をカメラからフォトストレージ(液晶画面付き携帯式ハードディスクのようなもの)に読み込むのが日課となっている。この日は撮影枚数が少ないため簡単に作業を終えた。さて、明日はいよいよ旅行の最終日。衣類や写真機材を再度整理し直してリュックに収め、ホッと一息。