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礼文・利尻の花めぐり 〜 桃岩歩道 〜

6月7日(月) 晴れ

 [ 行程 ]
礼文島・宿 ==> (宿の送迎車) ==> 知床 ==> 桃岩歩道 ==> 秘密の花園 ==> 元地灯台 ==> 桃岩展望台 ==> 桃岩猫台 ==> 
(タクシー) ==> 礼文島・宿

ハクサンイチゲと利尻島

[ 桃知コース ]
桃知(ももち)コース(桃岩歩道)は、島の南端に位置する知床(しれとこ)から桃岩展望台にかけての散策コーで、宿の人から「知床から元地(もとち)灯台にかけての山道の途中に『秘密の花園』がある」と教えられ、どんなところなのか楽しみにしていた。朝食もそこそこに、民宿の車で知床の散策路入口まで送ってもらい、歩き始めたとたん林道脇にノビネチドリの群生。一般の赤色に混じって白花も咲いている。まだ朝が早かったためか、出来上がった写真は・・・

ところで、「知床」という地名を見て アレッ! と思われた方もおいでだと思う。そう、世界遺産となった知床半島の知床だけではなく、礼文島にも知床はあるのです。名の由来は、集落を流れる細い川「シレトコマナイ」からきており、アイヌ語のシル・エトク・オマ・ナイ『大地・先(岬)・ある・沢』がその語源。北海道の地名の7割から8割はアイヌ語由来の地名で、その土地の特徴や地形・川などを表現した名前が数多くあることから、同名の地名はアチラコチラで見かける。 

ノビネチドリ シロバナノビネチドリ イチゴ イチゴ
ハクサンチドリ ハクサンチドリ エゾエンゴサク エゾエンゴサク

林道脇のところどころにイチゴが花弁にいっぱい朝露を浴びて光っていた。ノウゴウイチゴかなとも思ったがどうやら栽培されているイチゴが畑から逸脱してしまったものらしい。少し草地に入ると、鮮やかなブルーやエンジのエゾエンゴサク。どれも透き通った色をしていて鮮やかな色合い。林道を少し歩いて行くと右手に人が一人通れるぐらいの細い脇道があったので行ってみることにした。先へ進んでも元の道に戻るかどうかわからなかったが、なんとなく珍しい花が見れそうな雰囲気。

オオバナノエンレイソウ オオバナノエンレイソウ エゾイタヤ エゾイタヤ
ミヤマハンノキ タカネナナカマド ウマノアシガタ オオミミナグサ

緩い坂を下って行くと、左の土手には早速オオバナノエンレイソウがお目見え。右手には小川が流れており、川岸には低木が繁茂している。そこで見つけたのがエゾイタヤ。エゾは北海道を意味し、「北海道に産するイタヤカエデ」というのが名の由来。イタヤ(板屋)とはイタヤカエデのことで、葉がよく茂ることから屋根を葺いた板屋のように雨が漏れないとする説と、昔の石工が石を割るときに石目に沿って打ち込んだ木具の板矢に因んだ名前であるとの説もある。エゾの名があっても分布は北海道から本州中部地方にまで及んでいるらしい。その傍にあったのがミヤマハンノキ。この二つの木本は初見の花。

ハマハタザオ スミレの仲間 スミレの仲間 スミレの仲間
レブンソウ ネムロシオガマ レブンコザクラ レブンコザクラ

この日は朝霧が立ってときどき林道が霧に包まれた。林道の隅にスミレの仲間を見かけることもあるが名前が分からないのが惜しい。撮影しながらしばらく脇道を歩いていたら土地の農家の人に出会い、親切にも林道へ戻るまで先導していただいた。元の林道をしばらく歩くと左側にロープを張った細い道があり、その先を見ると数人の人影が見えた。「さてはあそこが『秘密の花園』かな」と思いながら進むと徐々に花が多くなり、ハクサンイチゲ、ネムロシオガマ、レブンコザクラ、レブンソウなどがお花畑を作っていた。さらに先へ行くと柵の向こうが崖になっており、山の斜面は一面のハクサンイチゲ。

元地灯台付近のハクサンイチゲ(エソイチゲ)群落
ハクサンイチゲ(エソイチゲ)は桃山展望台まで途切れることなく続いていた

崖の下は海なのだが霧に閉ざされて見えない。元の林道まで戻って元地灯台の下まで行くと、サクラソウに似た赤い花が草むらの中に見えた。リュックに入れてあった花図鑑をみると「サクラソウモドキ」とある。花の形を見てその名をなるほどと納得。これも初見花。どれもこれも俯き加減に咲いているので、それらしく見えるアングルをと撮影には苦労した。

次はレブンハナシノブ。青紫色の花弁と黄色のシベのコントラストが落ち着いた色合いを見せていた。レブンハナシノブは、北海道に咲くカラフトハナシノブのうち、この礼文島に咲くものは花序(花が茎につく場所)が短く、花が密生するので特にレブンハナシノブとして区別されている。ハナシノブは、シダ植物の「シノブ(忍)」に葉が似ていて、きれいな花を付ける植物という意味。シノブとは土がなくても堪え忍ぶところからの命名。
  
レブンハナシノブ
サクラソウモドキ

元地灯台から道は大きく右に曲り、尾根歩きになる。左手の谷側の斜面にはハクサンイチゲが延々と続く。これだけ大規模なハクサンイチゲの群生はこれまで見たことがなく、感激、感動して言葉もない。尾根の両側は笹が繁茂しているが、ちょっと開けた草地があり、そこには木道が敷かれていた。ゆっくり歩いて行くとクロユリの姿。中部山岳で見るクロユリと比較するとこちらの花は色が濃く形も大きい。帰った後で調べたところ、本来、クロユリは北海道地方のみに分布し、本州に自生しているのはクロユリを母種とするミヤマクロユリであると言われているようだ。

この尾根沿いの道はまさに絶景。道の西側(北側)は断崖絶壁が続くが東側(南側)はなだらかな丘が連なる。ときどき霧が晴れると海越えに利尻富士が垣間見える。礼文島は、最も標高の高い礼文岳でも490mしかない。それでも中部山岳の山頂で見られるような雲海が下に広がっているのは海霧のなせる技。民宿に帰ってから聞いた話では、この日は一日中霧に包まれていたそうだ。

ホソバノアマナ ホソバノアマナ クロユリ クロユリ
キバナノアマナ フデリンドウ イワベンケイ センボンヤリ

ネットの散策ガイドによれば、元地灯台から桃岩展望台にかけてのコースの鞍部では6月にレブンキンバイソウやレブンソウが、秋にはリシリブシが見られると紹介されている。この日はその時季には早かっため残念ながら見ることが出来なかった。桃岩展望台が近くなってから、フデリンドウ、キバナノアマナ、ホソバノアマナなどを見ることができた。これらは愛知県ではとっくに花期を終えた花ばかりで、さすが北国の礼文島だけのことはあると感じた。

  [ 桃岩猫台
桃岩展望台から県道765号線を左へ折れて桃岩トンネルを抜けると元地へ出る。この元地海岸では白っぽい透き通ったメノウ石を拾うことができるそうだが、それはパスして桃岩猫台という岩のあるところまでへ行ってみた。広い駐車場には観光バスが数台停まっており、観光客が展望台へ登っていくのが見える。駐車場の周囲を歩いているとセンダイハギが群落を作って咲いていた。桃岩猫台ではミヤマオダマキが数輪出迎えてくれた。

ミヤマオダマキ ミヤマオダマキ アケボノミヤマシキミ ハルザキヤマガラシ?
桃山遊歩道から利尻島 センダイハギ センダイハギ 夕暮れの利尻島



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