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礼文・利尻の花めぐり 〜 礼文林道 〜

6月8日(火) 晴れ

 [ 行程 ]
礼文島・宿 ==> (宿の送迎車) ==> 礼文林道香深入口 ==> 礼文林道 ==> 礼文滝分岐点 ==> 礼文滝歩道 ==> ハイジの谷
  ==> 礼文滝 ==> 礼文滝分岐点 ==> ピーク268分岐点 ==> ピーク268 ==> 香深 ==> 礼文島・宿

ピーク268から香深港の向こうに利尻富士を望む

[ 礼文林道 ]
礼文林道への入口は「香深(かふか)」と「香深井(かふかい)」にある。翌日は香深井から「宇遠内(うえんない)」へ行く予定であったので、この日は香深から入った。昨日も通った元地(もとち)への県道765号線を南へ向かって進むと、桃岩トンネルの少し手前に林道の入り口があった。道幅は広く、自動車でも十分通行可能だが、自然保護と安全確保のため通らないようにしていると聞いた。歩き始めて間もなく、土手の斜面にキクバクワガタの姿。野草図鑑などでは「高山の岩礫地や砂礫地に生える」と紹介されているのに、こんなに標高が低いところでも見られるのはさずか礼文島だけのことはある。

キクバクワガタ
コミヤマカタバミ コミヤマカタバミ ヒメイチゲ ヒメイチゲ

林道脇にはときどきコミヤマカタバミやヒメイチゲが草叢から頭を出しており、可愛いさにつられてついつい立ち止まっては写真を撮り、なかなか足が先へ進まない。この花も本州ならばある程度の高度がある山岳地帯でしかお目にかかれないのだがここでは随所に見ることができた。礼文林道は比較的標高差が少なく、林道の入り口付近で標高100m、高いところでも標高250mぐらいしかないので歩いていても快適なコースである。ときどき林が途切れたところからは香深港や海越えに利尻島を望むことができる。

シロバナニシキゴロモ シロバナニシキゴロモ オオバナノエンレイソウ オオバナノエンレイソウ
クロミノウグイスカグラ クロミノウグイスカグラ ナニワズ ナニワズ

ちょっと開けた草地にキランソウに姿が似ている花を見つけた。しかし、花の色は白く、葉はエンジ色っぽい茶色のような変わった花。これも初見の花でシロバナニシキゴロモ。「ニシキゴロモ」は、葉の美しさから「錦衣」の名がついたという。少し進むと右の谷側にオオバナノエンレイソウが群生していた。礼文島ではエンレイソウを見かけることは少なく、オオバナノエンレイソウの方が多かった。

次の「クロミノウグイスカグラ(黒実鶯神楽)」は、この木の幹に細い小枝が多く茂ってウグイスが隠れるのに都合がよいので『鴬が隠れる木』という意味で「ウグイスカグラ」の名がつけられ、「クロミノ」は文字通り実が黒い事によものと考えられている。「ナニワズ」はオニシバリに対する長野の方言。オニシバリとは、樹皮が丈夫で鬼をも縛り付けることができることによる。夏に葉が落ちることから、ナツボウズの異名もある。どちらも木本で初見の花。

シロスミレ ミヤマスミレ エゾノハクサンイチゲ エゾノハクサンイチゲ
ツマトリソウ ツマトリソウ ハクサンチドリ ハクサンチドリ

[ ハイジの谷 ]
礼文林道の半ばを少し過ぎた辺りに三差路があり、ガイド本などでは礼文滝分岐と書かれている。この道を左手に折れると礼文滝歩道。ここを真っ直ぐ西海岸に向かって進むと礼文滝に至る。最初は両側を笹に囲まれた道が続く。地元のボランティアの方が観光客のために滑りやすいところなどにロープを張る作業をしておられた(どうもありがとう!助かります。)。ここではスミレの仲間のほか、ツマトリソウ、ハクサンチドリ、エゾノハクサンイチゲなどが眼を楽しませてくれた。平坦な道かがやや下り坂になると樹林帯に入る。

ミヤマオダマキ(黄色の花の2枚目はキジムシロ、3枚目花はイワベンケイ)
サクラソウモドキ サクラソウモドキ レブンハナシノブ ネムロシオガマ

ほんの少し下って樹林を抜けると急に視界が開け、若草に覆われたた丘が見えてきた。ここは「ペータの丘」と呼ばれているところ。登山道の脇にはエゾウスユキソウ(レブンウスユキソウ)を2輪ほど見かけた。つづら折れの急な坂道を下ると「ハイジの谷」に出る。もちろん「ペータの丘」も「ハイジの谷」もテレビアニメでお馴染みの「アルプスの少女ハイジ」に因んだ名前。谷沿いに小川が流れており、その両側の斜面には、ハクサンイチゲ、ミヤマオダマキ、イワベンケイ、アサギリソウ、キジムシロ、エゾイヌナズナなどの花々が咲き乱れ、まるで絵のような美しさであった。後で気が付いたことだが、風景の全体像がわかるような写真を撮らなかったことが悔やまれる。

オオバナノエンレイソウ イワベンケイ チシマフウロ チシマフウロ
エゾイヌナズナ アサギリソウ エゾウスユキソウ ハイジの谷のお花畑

礼文滝へ出る少し手前の沢沿いに一見ヒメイチゲとよく似た花があった。それにしては草丈が高く葉の形も異なるようだ。何よりも花がニリンソウぐらいの大きさだったのでヒメイチゲでないことは分かった。リュックからガイドブックを取り出して調べてみるとエゾイチゲ。偶然にその土地でしか見られない花に出会うと嬉しいものだ。あまり喜び過ぎて同じような写真ばかり撮ってしまった。ああ、もっと冷静になって撮らなくては・・・

エゾイチゲ
ミヤマオダマキ 礼文滝 礼文滝付近の海岸 ハマハコベ

[ 礼文滝 ] 
ハイジの谷の途中に、人がやっと通れるぐらい道が狭くなったところがあり、しかも左側は傾斜が急な崖になっている。若かりし頃はこんなところで恐怖心なんか抱かなかったはずなのに、ほんの短い距離ながら少し怖さを感じた。足を滑らせないように慎重に歩く。そこを通り過ぎると道は下りに入り、前方に海が見えた。ようやく礼文滝に到着したようだ。海辺へ出てみると、この日も霧が出ていて見通しはあまり良くなかったのが残念。

しばし滝の付近を散策した後、来た道を引き返す。面白いことに、帰り道には往路で気が付かなかった花をよく見かける。この日のツバメオモトがそうで、松の根元に二株ぐらい咲いていたのを見つけた。礼文滝分岐から少し香深方面へ行くと左手に草地があり、そこから登山道らしき道が伸びていた。地図を開いてみると、どうやらそこが「三角山」「ピーク268」へ向かう登山道らしく、ここを下れば宿のすぐ裏手に出るように思えたので実際に歩いてみたところ、礼文林道を戻るコースよりほんのわずか距離が短いだけであった。

エゾオオバコ セリ科の植物 ゴゼンタチバナ センボンヤリ
ツバメオモト



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