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花の丘富良野

6月28日(月) 晴れ時々曇り

[ 行程 ]
富良野 R237 ==> 中富良野・ファーム富田 R237 ==> 富良野 R38 ==> 十勝清水 R234 ==> 
鹿追町 D85 ==> 然別湖 D85 ==> 糠平湖 R273 ==> 上士幌 R241 ==> 大通北2 R236 ==>
帯広
 (注) 道路番号の「R」は国道、「D」は道道

[ 早朝の鳥見 ]
 光の眩しさで目が覚めた。時刻は午前4時5分。ふと窓の外を見ると朝日が山の稜線から顔を出しかかっている。慌ててバッグからカメラを取り出し、数枚撮影した。ラッキー。  それにしても少し早いと思って後日、日の出時刻を調べてみたら、富良野では4時05分、名古屋は4時40分とあった。ああ、北の国にいたんだ、という感慨が改めて湧いてきた。

 早起きしたついでにホテル周辺の探鳥へ出かけることにした。外に出ると、聞きなれたホオジロ、カッコー、ウグイスの他、いろんな鳥の鳴声が聞える。芝の朝露にズボンの裾を濡らしながら数分歩くと、松の木の頂辺りから綺麗な声が聞えた。早速カメラを向けて鳥を確認したのだが、小さくて名前がよくわからない。

 カッコーの声はするのだが、少し遠そうだ。ウグイスは葉陰に隠れてなかなか見つけることができない。2時間近く散策して4種類の写真が撮れた。スズメかと思って撮った写真が、名前を確認してみると、同じスズメでも「ニュウナイスズメ」。普通のスズメと違って、頬のあたりの黒班がない。また、「ビンズイ」は、ヒバリと非常によく似ているが、特有の冠羽がないのでそれと分る。

 カワラヒワ  ヒンズイ  ホオジロ  ニュウナイスズメ

[ ファーム富田 ]  
 ホテルに戻って朝食を済ませ、7時半にチェックアウト。フロントで「ファーム富田」の場所を確認する。車でほんの5分も行ったところにあるという。国道237号線に出る少し前の道を右折してしばらくすると、花屋さんがあったのでちょっと立ち寄ってみた。ここでも花を栽培していて直売しているようだ。


 今日のお目当て「ファーム富田」に到着。さすが有名なだけあって規模が大きな農園だ。敷地には通常、150種類以上の花が植えられ、見ているとしばし時を忘れる。

 園内には早朝だというのに既に団体客が大勢詰めかけ、盛んにシャッターを切っている。お客さんは圧倒的に女性が多い。

 訪れたときは、ラベンダーはまだ咲き始めの状態であったが、ポピー、サルビア、マーガレットなどが競って咲いていた。

 ハマナスも植えられていたが、少し色褪せていた。ただ、率直に言って、ハマナスはこうした農園で見るより自然の風景の中に溶け込んで咲いているのを見たほうがいいと思った。

 いろんな施設も充実していて、花の直売のほかちょっとしたレストハウスもあり、ラベンダー入りのソフトクリームを食べたら、甘い香りがしてとても美味しかった。

 ここでは、冬でもラベンダーが見られるようにと、グリーンハウスが設けられ、サービスに努めている。

 今回訪れたときは、夏のシーズン直前のためか、雑誌で見たファーム富田の写真と比べると、花の種類・数とも少ないように感じられた。 

 [ファーム富田]
  〒071-0704 北海道空知郡中富良野町基線北15号
  Tel 0167-39-3939 FAX 0167-39-3111
  E-Mail:scent@farm-tomita.co.jp
  URL:  http://www.farm-tomita.co.jp/

[ 然別湖へ ]
 ファーム富田を出たのは10時過ぎ。次の目的地「然別湖」までは140km弱の道程。若松町交差点で国道237号線に別れを告げて国道38号線に入る。ここから十勝清水までの約70kmは途中に狩勝峠という眺望のいいところもあったが、特別「これ」といったところもなく、淡々と車を走らせる。

 とは言え、やはり北海道。車の窓を開けて走っていると風は冷たいぐらいで、爽やかな気分。なにより交通量の少ないことが、ドライブの快適さをさらに増してくれる。道端には、時折、色とりどりのルピナスの花が目を楽しませてくれる。

 十勝清水から国道274号線を経由して、鹿追町付近で道道(道の道)85号線に入る。この頃から道の両側に丘が連なり、遠く十勝岳を背景にして牧場が点在している。ナビが教える道は何度も右左折を繰り返し、目標物がないこの地では地図だけで走るのは難しそうだ。

 次々現れる丘には、防風林として随所に植えられた針葉樹の濃い緑が牧草の淡い緑と美しいコントラストを見せていた。後で気がついたのだが、この道の景色の美しさに見とれて、写真を1枚も撮らなかったことが悔やまれる。

 道が険しくなったと思ったら、西ヌプカウシヌプリ(1,212.0m)と東ヌプカウシヌプリ(1,252.2m)という二つの山に挟まれた道にさしかかったようだ。ヌプカウシヌプリの意味は、アイヌ語で「原野に聳える山、野の上にいる山」とのことである。山の頂を結ぶ線の少し手前にあった「扉ヶ原展望台」で小休止。

 晴れていればここから太平洋が見えるはずであったが、残念ながら霞がかかっていて遠くまで見通すことがてきなかった。

 山路を登りきったあたりに然別湖はあった。然別湖は、2万年以上昔、周囲の山々が噴火した際に川がせき止められて誕生したものと言われており、白雲山頂上付近をはじめ然別湖周辺の各所で火山噴火の名残を見ることができる。然別湖周辺は未開発の森や自然環境が現在まで残されており、静かな佇まいがいっそう神秘な雰囲気を醸し出している。

 何はともあれ、とりあえず湖畔にある然別湖ネーチャーセンターへ立ち寄って情報収集。そこで貰ったリーフレットによると、然別湖は北海道の自然湖では一番高いところ(807m)に位置しており、周囲は16km。キタキツネ、エゾシカ、ナキウザギなどの動物のほか、鳥ではヤマセミ、コマドリ、キセキレイなど、多くの野生動物が生息している。

 ネーチャーセンターの傍にレストランがあった。昼食には少し早い時間だったがレストランに入ると、メニューに「オショロコマ」の天婦羅があって、食べてみたらさっぱりした味で美味しかった。

 オショロコマはサケ科の魚で、北海道では道央・道東の山岳地帯の河川上流域に分布する魚。然別湖特有のオショロコマはミヤベイワナと言われ、北大名誉教授の宮部金吾氏が命名したものだそうで、然別湖がカルデラ湖なので陸封型、他の河川の魚は降海型ということである。

 ネーチャーセンターで鳥の居そうなところを聞くと、湖の北端にあるキャンプ場の湖岸に水鳥がよく来ているが、現在の時間(12時前後)ではどうかな、とのこと。
 やはり探鳥は早朝に限る。それでもかすかな期待を抱いて教えられた場所で暫く様子を見ていたが、やはり姿を見せない。
 
 湖の辺では、老年の夫婦と思しき二人が手にメモ帳を持って、湖面を眺めながらゆっくり湖岸を歩き、時折立ち止まっては何かを書いている。きっと和歌か、詩でも作っているのだろう。あんな趣味もあったらいいなあ、と思いつつ車に戻った。

 [然別湖ネイチャーセンター]
  〒 081-0344 北海道河東郡鹿追町北瓜幕
  Tel 01566-9-8181  FAX 01566-9-8008
  E-Mail nature@netbeet.ne.jp
  URL http://www.netbeet.ne.jp/~nature/

[ 糠平湖から帯広へ ]
 ここでの探鳥は諦めて、然別湖を後に次の目的地「糠平湖」へ向かった。糠平湖は、発電用のダム湖で周囲は32km。人造湖としては北海道で2番目の広さを誇っている。また、周辺にはひなびた雰囲気のいい温泉街があり、日帰り入浴もできる。山の中腹にはスキーのリフトも見える。

 道道85号線沿いは美しい白樺林が続く。糠平温泉スキー場付近の道は糠平湖の遥か上に位置しているため、湖の全貌を見渡すことができる。道路沿いには自生のルピナスやブタナがしなやかな茎に黄色い花をつけている姿をあちこちで見ることができる。

糠平湖・ルピナス ルピナスのアップ ブタナの群生

 糠平での撮影を終え、今日の宿泊地「帯広」へ向かう。道道85号線から国道273号線へ出て一路南へ。こちらの道も牧草地が多い。それに、真っ直ぐな道が延々と続くところが気持がいい。上士幌町航空公園キャンプ場付近で国道241号線と合流し、ここから道の名称も241号線へと変わる。

 帯広へ向かう途中の士幌町では、とうもろこし畑を随所に見ることができた。農園、防風林、サイロ、遠くの山脈、どれも北海道では見慣れた風景だが、それぞれに趣があっていいものだ。
 そして、なによりも頬をわたる涼気がなんとも清々しくて心地よい。これはクーラーなどでは決して味わえる風ではない。

 然別湖からここまで43km、宿までは残り40km足らず。時刻は4時ちょっと過ぎ。道東自動車道を少し越えたところに十勝川が流れ、そこに平原大橋が架かっている。通り過ぎさまに下を見ると、川の両岸に沿って葦原が続ぎ、いかにも鳥が居そうな感じがしたので、引き返して川原へ降りてみることにした。しばらく探索してみたが、以外にもほとんど鳥を見かけず、元の道へ。

 ホテルに付いて、チェックインを済ませ、今日の夕食の場所を決めるためにフロントでタウンマップを貰った。どうもホテルの近くにはそれらしきところがないようなので、帯広駅まで行ってみることにした。駅前というのに居酒屋も少なく、いろいろ探した挙句に1階が花屋と喫茶、2階がレストランという店に入った。

 まだ時間が早いせいか、客は私のほか1人。年配のウェートレスに魚のコース料理を注文。びっくりしたのは、値段の割りに次から次へといろいろな料理が出てきて、デミコーヒーの頃にはもうお腹一杯。やっとの思いで流し込んで外へ出たところ、雨。止む無くタクシーを拾ってホテルへ帰ったら9時近くになっていた。









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