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旅立ち・美瑛へ

6月27日(日) 晴れ時々曇り

[ 行程 ]
名古屋空港 ANA325 ==> 旭川空港 D68 ==> 千代ヶ丘 R237 ==> 美瑛・新栄の丘 [一般道]
==> 拓真館 [一般道] ==> 美馬牛 R237==> 中富良野・西中 [江花パノラマロード] ==>
オリカゴルフ & ホテルリゾート
 (注) 道路番号の「R」は国道、「D」は道道

[ 出 発 ]
 午前10時、自宅を出発。背中に1週間分の着替えをぎっしり詰め込んだリュック、両肩にカメラバックと三脚バッグを担ぐとさすがにズシリと重さを感じる。地下鉄まで徒歩10分の辛抱。地下鉄で名古屋駅までは4分、名古屋駅・名鉄バスセンターから名古屋空港までは都市高速を走って25分。かって都市高速が出来る前は45分ほどかかっていたのが、随分早くなったものだ。

 空港に着いてから搭乗手続きを済ませ、機内で読むための雑誌「BIRDER」と貴重品だけを手元に残して手荷物を預けたらようやく身軽になった。出発までの1時間余りを喫茶店で過ごし、午前11時45分出発ロビーへ。間もなく搭乗開始のアナウンスがあり、ANA325便へ乗り込む。

 12時00分、飛行機は晴れ上がった空を目指してエンジンの轟音とともに離陸した。何度も経験しているはずなのに、この瞬間だけは好きになれない。高度がグングン上がって水平飛行に入った頃、眼下には真っ白な雲海が果てしなく拡がっている。間もなく機内アナウンスがあり、気流の状態が良く、予定より10分ほど早く到着の予定とのことだ。

 函館上空にさしかかった頃から次第に雲がまばらになってきた。この様子では旭川の天気はよさそうだ。午後1時35分、飛行機は旭川空港に無事着陸。到着ロビーで手荷物を受け取り、レンタカー会社の駐車場で待つこと約15分。迎えのバスに乗ってニッポンレンタカーの営業所へ。レンタカーの借受け手続きを済ませたのが2時45分。車はカローラ4W。走行距離メーターを見ると、9,539km まだ新しい車のようだ。

 いよいよ北海道ドライブ旅行のスタートだ。最近のレンタカーはカーナビが装備されているので知らない土地をドライブするには非常にありがたい。とは言っても、実際に使うのは初めてなのでとりあえず操作方法を調べ、目的地を今日の宿泊先、中富良野にセットする。

[ 美瑛へ ]
 飛行場から国道237号線へ出ると、道は片側1車線ながら側路帯が広いためか、2車線分の広さがあるように感じられた。思ったより交通量が少なく、走っている車の速度も早い(約80km/h)。車窓から見る景色は「広大」という表現がいかにも似合い、"さすが北海道だ" と思わせる。

 旭川から美瑛までは南へ約25kmの道程。美瑛は「丘のまち」というだけあって、道の両側には緑豊かな丘が緩やかな起伏を見せて連なっている。この地は映画やTVのCMのロケが行われたり、商品のパッケージ写真が撮影されたりして、それに因んで名付けられた「マイルドセブンの丘」「ケンとメリー木」「セブンスターの木」などがある。今回は時間の関係もあって車の中から見るにとどめた。

 最初の目的地は「新栄の丘」。美瑛駅の近くで国道を離れ、15分ほど東南方向へ走ったところにある。新栄の丘は展望公園にもなっており、眺望は素晴らしい。園内に植えられた花々、さまざまな色合いを見せて連なる丘、十勝岳を主峰とする山々、目を転じたところそれぞれに趣があって美しい。

 この日の十勝岳は頂上から中腹にかけて雲に包まれ、全容を見ることが出来なかったのは残念であったが、園内の花壇では色とりどりの花を見ることができた。カラフルなポピー、ルピナス、白さがまぶしいほどのマーガレット、全盛期には少し早いようだけど清々しい紫のラベンダー。どれもが鮮やかな色を競い、短い北国の夏を演出しているようだった。

 
[ ハプニング ]
 新栄の丘での撮影を終えて、風景写真家として有名な前田真三の記念館「拓真館」へ向かった。途中の景色は、カメラを向ければどこでも絵になりそうなほど美しい。
 前田真三は1971年に初めて美瑛を訪れ、以来、その風景に魅せられて写真を撮り続け、ついには拓真館と自宅を美瑛に建てて移り住んだという。1998年11月、彼の愛して止まないこの地で病に倒れ、76歳でその生涯を閉じた。

 [ 拓真館 ]
  〒071-0474 北海道上川郡美瑛町字拓進
  Tel 0166-92-3355 Fax 0166-92-4213

 「拓真館」では彼の作品が展示・公開されているので、ここだけは見ておきたいと思って車を駐車場に止めた。鳥の囀りが聞えたので声のする方を見上げると、小高い木の頂にノビタキが1羽。チャンス到来とばかりに早速カメラを取り出し、フィールドスコープをセットしかけたところ、スコープとカメラを固定するためのネジが無い!。いくらバッグの中を探しても見つからず、これでは明日から鳥の撮影ができないため、とにかく代用のネジを買いにいくこととした。

 時計を見るとすでに4時を回っている。日曜日のことでもあり、祈るような気持ちで上富良野の町まで車を走らせ、金物屋を探し回ったところなんとか見つかった。店はお休みらしくシャッターが降りていたが、くぐり戸が開いて店の前で中年の女性が掃除をしていたので、話しかけたところ運良く店の奥さんだった。事情を話すと快く同じサイズのネジとレンチを探してくれた。ホッ!。
(後日、自分の車の中を探したら、助手席のところに落ちていました)

デジスコセット 接続部分 左:本来のネジ、右:購入

 このとき時刻は5時少し前。空は次第に雲が多くなってきて薄暗さを増している。拓真館へ戻るのは諦めて、中富良野にある今日の宿泊先「オリカゴルフ & ホテルリゾート」へ向かった。

 ホテルはゴルフ場の中に建てられており、建物の周りがゴルフコースとなっている。チェックインを済ませてから、しばらくホテルの周りを散策し、鳥が居そうな場所を探す。部屋に戻って窓から外を見ると、ホテルの建物がゴルフコースいっぱいに長い影を落とし、遠くには十勝岳の麓がうっすらと見えた。

 夕食はフランス料理。メインディッシュは子羊のステーキ。ワインと共に飲んだ地ビール「富良野ビール」が以外とイケた。地ビールはその名のとおり、いろいろな素材で作られている故に当たり外れが大きく、後味がスッキリしないものも多いのだが、これまで飲んだ中では「安曇野ビール」に次いで美味と感じた。

 部屋に戻って今日撮った写真を見てみる。いつものことながら、撮影中に感じたものをそのまま記録することは難しいとつくづく思う。カメラで切り取られた空間では、丘での爽やかな空気や景色の大きさまでを、受けた印象どおりに表すことができないのがもどかしい。










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