プロローグ 旅立ち・美瑛へ 花の丘富良野 霧多布湿原 釧路湿原と湖
オホーツクの花 知床と原生花園 サロマ湖 エピローグ HOME




知床の原生花園

7月2日(金) 晴れ

[ 行程 ]
宇登呂 R334 ==> オシンコシンの滝 R334・D93D ==> 知床五湖 ==> D93・R334・[一般道]
==> 以久科原生花園 [一般道]・R334・R244 ==>小清水原生花園 R244 ==> 網走 D76 ==>
能取岬 D76 ==> 能取湖 D1010・R238・R39 ==> 網走駅
 (注) 道路番号の「R」は国道、「D」は道道

[ 幻の知床五湖 ]
 宇登呂(ウトロ)での宿泊地は、遠音別(おんねべつ)岳(1,331m)の山裾にあり、周囲が木立に囲まれた自然味豊かなホテルだ。この日は朝5時に目が覚めたので、当然のごとくデジスコを片手に付近を散歩することとした。ホテルの玄関を出ると早速エゾシカのお出迎え。近づいても逃げようとしない。

 この付近でもシカが沢山いるようで、庭先でも何頭か見かけた。鳥の種類はそれほど多くはなく、写真に収めることができたのはホオジロだけで、少し拍子抜けの感じがした。

 朝食を済ませて、昨日入ることができなかった知床五湖に再びチャレンジだ。急な山道を下り、国道に出て5分ばかり走ると、知床八景の一つで「日本の滝100選」にも名を連ねている「オシンコシンの滝」がある。午前8時前とあって、見学者は誰も居ない。

 昨日、この滝の側を通りがかったときは、観光バスが何台も駐車しており、見学路に長い行列ができていたのでそのまま通り過ぎてしまった。

 この滝は、途中から流れが2つに分かれていることから別名「双美の滝」とも呼ばれ、滔々と水しぶきを上げて流れる様はなかなか壮観だった。

 昨日来た道を湖に向かって走る。天気は上々で、晴れ上がった空の抜けるような青さが素晴らしい。国道334号線から知床五湖への道に入ると、白樺林の幹の白さと瑞々しい緑に心が洗われるような清々しさを覚える。この雰囲気を味わうことができるのが山路のドライブの醍醐味だ。途中、エゾシカが笹薮の中から飛び出してきて、危うくぶつかりそうになったがなんとかブレーキが間に合ってホッとした。


 知床五湖に到着して、"今日は大丈夫だろう"と思いながら駐車場に入る。昨日と同じように係員が来たので駐車料金を準備しかけたら、「今朝からヒグマが出没して湖への散策路は閉鎖しています」と、昨日と全く同じ。"ええ〜っ!、そんな〜"というのが率直な感想。「展望台から第1湖だけは見ることができます」との次の言葉で "まあ、仕方ないな"と思って車を降りる。

 これだけヒグマが出没するようになった一つの原因は、人間が湖の辺りに食べ残しを捨てていったのが熊のエサになっているのこと。観光客のマナーの低下が他の観光客を阻む結果を招いているのだ。実に嘆かわしい。

 展望台への木道を登りきると草原の向こうに小さな湖が見えた。知床五湖の第1湖。イメージに描いていた神秘的な姿とは裏腹に、どこでもあるような小さな湖がポツンとあるだけだった。

 今回の北海道旅行の楽しみの一つは、いくつかの湖の辺で、北海道でしか見られないような山野草の写真を撮ることでもあったのだが、望みを果たすことができず、正に幻の湖に終わってしまったのが心残りだ。

 止む無く駐車場を後にして、カーナビを次の目的地「小清水原生花園」にセットする。車窓から知床の海岸線を眺めながら時々ナビを見ると画面に青いギザギザ模様が表示されている。よく見ると、黒くなっているところには地図が無い。最果ての地なればこその画面だった。


 国道334号線は別名を知床国道ともいい、オホーツクの海岸線に沿って走る。宇登呂の町を過ぎ、峰浜というところまで来たら小規模な自然保護区が目に付いたのでちょっと寄ってみた。両側を笹に覆われた道を少し行くと、駐車場があったので車を停めてあたりを歩いてみたが、これといって珍しいものはなく、道端で見かけた花を数枚の写真に撮った。

コウリンタンポポ

クサフジ?


[ 以久科原生花園 ]
 いま走ってきた国道334号線が国道244号線と交差するところに「知床博物館」「以久科原生花園」の案内板があった。「以久科原生花園」の名に惹かれて、今日の予定には無かったがどんなところかとりあえず行ってみた。それほど有名ではないのか、人は数名ほどしか見当たらない。

 海岸に沿って細長く原生花園が続き、あちこちで鳥の鳴声がする。デジスコを担いで歩いていくと、喉の部分が真っ赤な鳥が綺麗な声で鳴いている。その他にも色々な鳥がいるようだ。通りがかりの中年の女性が「写真撮影ですか、この辺りには40種類以上の鳥がいるそうですよ」と教えてくれた。

ノゴマ(雄) ノゴマ(雄) ノゴマ(雌)
ホオアカ ヒガラ

 ここにもエゾスカシユリやハマナス、エゾカワラナデシコ、センダイハギなどの花が咲いていたが、初めて見る鳥が多かったので夢中になって2時間以上にわたって鳥ばかり撮影していた。昼間でもこれだけ多くの鳥が見られるのだから、是非とも早朝に訪れてみたいものだ。

[ 小清水原生花園 ]
 以久科原生花園ではもう少し撮影していたかったが、この後のスケジュールのことを考えるとそうもいかず、また国道へと戻る。ここから先は国道の名前が変わって244号線、通称「斜里国道」となる。「小清水原生花園」までは約20km。釧路から網走に至るJR釧網(せんもう)本線が延々と伸びてきて、「小清水原生花園」入り口付近に「原生花園」という駅が作られている。

 ここはさすが有名なだけあって、線路脇の駐車場には観光バスが数台、乗用車が数十台も駐車している。海岸と釧網本線との間が砂丘のようになっていて小高く盛り上がっている。そこには以久科原生花園で見た花に加えて、エゾキスゲ、ヒルガオ、エゾノシシウドなどの花が砂丘一面に咲いている。

 海岸の反対側には、濤沸湖が原生花園に沿うように大きく広がり、その後ろの左側に斜里岳(1,545m)、右には屈斜路湖の北に位置する藻琴山(1,000m)がなだらかな山容を見せている。

エゾキスゲ エゾスカシユリ ヒルガオ
濤沸湖 小清水原生花園 斜里岳

 原生花園から木道の階段を下りて海岸の砂浜にまで行ってみた。ここでもやはり風は強い。右手には知床連山が昨日の霧などまるでなかったかのように、くっきりと見えた。オホーツクの海はどこまでも青く、海岸に寄せる白い波頭が美しい。しばらく風と潮騒が奏でるシンフォニーに聴き入っていた。

遠く知床連山 オホーツクの海

 小清水原生花園の散策を終えた頃には午後1時を過ぎていた。車でしばらく走るとラーメン屋があったので昼食にした。注文した品は本場のサッポロラーメン。店構えからあまり味は期待してなかったのだが、嬉しい誤算でなかなか美味。

 店の入り口で雑誌を売っていたので見てみると、北海道新聞社発行の「モーリー」という雑誌で、1999年7月の創刊。北海道の自然をテーマにした特集が毎号組まれており、この地方に関連するバックナンバーが置いてあった。「北海道の湿原(創刊号)」と「北のロマン・原生花園(6号)」の2冊を買い求めた。

 その他に買ったのは、「北国からの贈り物株式会社」という面白い名前の出版社が発行している「faura」という季刊誌。これも北海道の自然を紹介している雑誌で、「シマアオジ・消え行く草原のスター」という特集が掲載されている。これらが旅行記を書く上で大変参考になった。

[ 能取岬 ]
 今日のドライブもいよいよ終りに近づいてきた。次は最後の目的地「能取(のとろ)岬(アイヌ語で「岬のところ」という意味)」。国道244号線を海岸線に沿って北へ向かい、網走から道道76号線に入る。岬に着くと白と黒のツートンカラーの灯台が見えた。その手前にはトーテンポールのようなものがある。説明書きを読むと「ニポポ(アイヌ語で「小さな木の子供」)」といい、木でつくったお守りということだった。

ニポポと灯台 向こうは常呂町

 岬一帯は、芝が植えられて広い野原になっている。岬の西側に行ってみるとオホーツクの海面が傾きかけた陽の光を受け、光の粒がキラキラ揺れて美しかった。雄大な景色を眺めていると心まで大きくなるような気がする。

 道道76号線に戻ると道は砂利道になった。右手に能取湖を見ながらデコボコ道を走る。時折、木の梢から鳥の囀りが聴こえる。干潟が随所にあり、葦原が繁っている。初めて見る鳥もいたので、ところどころで道の脇に車を停め、鳥の写真を撮った。

ノビタキ(雄) ノビタキ(雄) ノビタキ(雌) アオサギ


 今日の泊まりは網走。「網走番外地」の歌でも有名な網走刑務所のあるところだが、敢えて見ようという気はしなかった。明日は旅の終り。車をレンタカー会社に返さなければならないので、埃と泥にまみれた車を洗車してもらうこことした。網走駅前近くのガソリンスタンドに入り、カーウォッシャーで水洗いをすると見違えるようにサッパリした姿になった。


 夕食はホテルの外でとるこことし、街へ出て魚の美味しそうな店を探す。ちょっと高級な感じのする居酒屋があったので暖簾をくぐる。焼き魚、刺身などを数点注文してビールで喉を潤す。次から次へと客が入り、かなり混雑してきた。それもそのはず、確かに魚は美味しい。

 最後の北海道の夜を楽しむために、店でスナックを紹介してくれるよう頼んだら、運良くこの店の従業員の姉が開いている店があり、親切にも送ってくれた。ママさんや店に居合わせた客と雑談したりカラオケを唄ったりして楽しいひと時を過ごした。帰るとき土産にと、まるでオホーツクの海のように透き通ったブルーの灰皿と、タオル地の小さなハンカチ2枚を貰って、ホテルに戻ったら時計は11時になっていた。 











inserted by FC2 system