初秋に咲く野草 --- 栂池自然園 ---

旅   行   日   程    ( 2009年)
8月17日(月)
晴れ
名古屋 〜 R22 〜 一宮IC (名神高速道路)  〜 小牧JCT (中央自動車道) 〜 岡谷JCT (長野自動車道)  〜 豊科IC 〜R147・R148 〜 白馬 〜 八方尾根散策 〜 R148 〜 栂池高原(泊) 
8月18日(火)
晴れ
栂池高原 〜 栂池自然園散策 〜 R148・R147 〜 豊科IC (長野自動車道) 〜 岡谷IC 〜 R20・K254・K14 〜 岡谷市(泊)
8月19日(水)
晴れ時々曇
岡谷市 〜 K14・K254・R20 〜 東山 〜 高ボッチ 〜 高ボッチ山散策 〜 入山辺 〜 鉢伏山散策 〜 東山 〜 R20 〜 岡谷IC (長野自動車道) 〜 岡谷JCT (中央自動車道) 〜 諏訪南IC 〜 K90・R20 〜 富士見 〜 大河原湿原 〜 入笠湿原散策 〜 杖突峠 〜 R152 〜 伊那I.C (中央自動車道) 小牧JCT (名神高速道路) 一宮I.C 〜 R22 〜 名古屋
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[ 8月18日(火) ]
 今朝は宿のご主人に無理を言って、朝食時間を1時間早くしていただいた。おかげでゴンドラの始発には十分間に合う。栂池自然園へ行く前に昼食の弁当を調達してこようとコンビニを探したけれど宿の付近には見当たらず、岩岳まで車を走らせてようやく見つけることができた。単におにぎりを用意するだけなら宿へお願いしてもよかったのだが、それでは味気ないので「おかず」になるようなものと、果物も買い求めた。登山途中の水分補給にジュース類では、飲んでから口の中に甘味が残り、かえって水が欲しくなるのでお茶とか天然水が良く、最近はお茶を水筒に入れ、天然水はそのままリックに詰め込むことにしている。

 宿からほんの5分もかからないところにあるゴンドラ駅に着くと、もう50人近い人が出発のときを待っていた。今日も快晴で暑くなりそう。栂池自然園は散策するだけなら八方尾根よりはるかに楽をして周ることができるので、周囲に居る人の姿は軽装で半袖姿の人が多い。山や海は思ったより紫外線が強いので本当は長袖が望ましいのだが・・・。さて、栂池自然園までは栂池高原駅からゴンドラリフトで栂の森駅まで約20分、そこからロープウエイに乗り換えて自然園駅まで約5分。ざっと30分もあれば自然園入口のビジターセンターへ行くことができる。

ミズバショウ湿原から白馬三山を望む


 ゴンドラ駅に着いてからゲレンデの散策路を少し歩いてみた。草原にはゴマナやノコギリソウが朝露をためて輝いていた。他にはめぼしい花もなくロープウエイに乗って自然園駅へ。ビジターセンターには展示施設が設けられており、ここから先は有料。自然園に入るとそこはミズバショウ湿原。園内には木道が敷かれ、散策がしやすくなっている。ミズバショウ湿原は、例年6月中旬までは雪に覆われて雪原となっているが、6月下旬から7月上旬にかけてミズバショウの見ごろを迎える。ミズバショウが終わりを告げるといよいよ湿原の夏になり、いろいろな花が咲き乱れる。今回は初秋とあって湿原内にはイワショウブが目立つ。

ゴマナ ゴマナ オオウバユリ ノコギリソウ
コガネイチゴ

 今回の散策順路は自然園を左回りに一周するつもり。距離は約5.5km。標準的な所要時間は3時間30分だが、写真を撮りながら歩くとなると少なくとも倍の時間をみておかなければならない。今日の宿泊は岡谷市だから、ざっと2時間かかるとすれば3時までには下山する必要がある。時間的にはゆとりをもって周れるだろう。ここでもまずイワショウブと白馬三山とのコラボから撮影開始。15分ぐらい歩くと「風穴」がある。その傍ではコガネイチゴ、キヌガサソウなどを見ることができた。

イワショウブ イワショウブ タテヤマアザミ キヌガサソウ
タテヤマリンドウ タテヤマリンドウ ウメバチソウ ウメバチソウ

 時間が経つにつれてタテヤマリンドウが花を開き始めた。この花は小さくてほんとうに可愛らしい。ウメバチソウも湿原内のいたるところに咲いているが近くに咲いているものが少ないので、木道に腹這いとなって身を乗り出しての撮影。8月中旬ともなると湿原に咲く花も少なく感じる。秋には秋の良さがあるとはいうものの、やはり栂池自然園は6月下旬から7月上旬ぐらいにかけてが花の種類も多く見栄えがする。

やせ尾根を登りきったところからの展望


 ビジターセンター付近は標高1850m。湿原内はほとんど平坦でアップダウンもないから普通の運動靴でも散策はできる。やせ尾根頂上付近の展望台や展望湿原へ行こうとすると、標高が2015m〜2010mになり高低差160m余の山道を登ることになる。登山道も木道ではなく、ガレ場や山肌がむき出しになって滑りやすくなっている場所もあるのでトレッキングシューズは用意したい。展望台付近からは白馬三山が目の前に大きく広がってまさに絶景というにふさわしい場所で、一見の価値は十分ある。

ゴゼンタチバナ オヤマリンドウ ツルリンドウ ツルリンドウ
ミソガワソウ

 今回の信州の山旅ではオヤマリンドウによくお目にかかった。リンドウもいろいろな種類があるが、どういうわけか総じて大型のものは花が全開しないようである。エゾリンドウ、オヤマリンドウは開いているのかどうかさえも分からないぐらいなのに、コケリンドウ、タテヤマリンドウ、ミヤマリンドウ、ハルリンドウ、フデリンドウなど小型のリンドウは手のひらを思いっきり開いたように咲く。また、ツルリンドウ、トウヤクリンドウ、リンドウなどの少し大きめのリンドウは「おちょぼ口」を開くような咲き方だ。花の大きさと開き方にはなんらかの相関関係があるのだろうか。

イワイチョウ イワイチョウ エゾシオガマ ギョウジャニンニク
ヤチトリカブト

 痩せ尾根へ行く途中の道は変化に富んでいて面白い。沢沿いにはミソガワソウがよく目につく。この花にはちょっとした思い出がある。数年前、仕事の関係でミソガワソウの写真を撮る必要があって咲いている場所を調べたら、栂池自然園が名古屋から一番近くでしかも簡単に見られる場所だった。私にとってミソガワソウが栂池自然園を知る機会を作ってくれたのであった。ついでにその時のことをもう少しつけ加えると、現地へ出向いて果たして本当にその花に出会えるかどうかが分からなかったので、最初の訪問はプライベートな観光も兼ねての下見となった。もちろん、費用は自前。(笑)

展望湿原から白馬三山を望む


 展望湿原へ到着するのはなぜかお昼前後になる。ここには段々になったベンチが設けられていて、格好の休憩場所になっている。この景色を眺めながらの食事はことのほか美味しい。初秋なので草も木々も緑なのだが、10月の半ばともなると紅葉がとても美しい。なお、山の天気は午前中はいくら晴れていても午後になると雲が湧き出してくることがほとんどなので、景色を見るときはできるだけ早い時間にここへ来ることをお勧めする。

オオレイジンソウ クロクモソウ? シナノサイコ ソバナ
モミジカラマツ ゴゼンタチバナ ツルニンジン ホソバノキソチドリ

 痩せ尾根付近には湿原では見られない花が咲く。ソバナ、シナノサイコは痩せ尾根の切り立った斜面に咲いている花。登山道にはロープが張ってあって近づくことはできないし、斜面へ降りるのは何よりもまず危険である。このときの写真も太い木にもたれてなんとか身体を固定して撮影したもの。「クロクモソウ?」は、一見シュロソウのように思ったが調べてみるとクロクモソウに似ている。残念ながら葉が写ってないので同定が難しく、「?」マークを付けざるをえなかった。

シシウド タテヤマリンドウ コバノトンボソウ コバノトンボソウ
オニシモツケ オニシモツケ オタカラコウ オタカラコウ

 帰り道はすべて左側の道を通った。そのおかげで往路には見られなかったオニシモツケの群生やオタカラコウ、イブキトラノオなども見ることができた。ホソバノキソチドリ、コバノトンボソウは往路で見逃してしまったのでわざわざ咲いていそうな場所まで戻って撮った。そのとき、往路ではほんの僅かしか見られなかったタテヤマリンドウが湿原の草原一面を淡い空色に染めるほど咲いていたのには驚いた。ビジターセンターまで戻ったら2時45分。概ね予定時間どおりに戻ることができた。

シラネニンジン サラシナショウマ クロトウヒレン ヤナギラン

 今夜の泊は岡谷市。栂池自然園を後にして、国道148号、147号線を約54km走って長野自動車道・豊科インターチェンジへ。早朝と異なり、交通量が増えているので1時間半ぐらいかかった。ここから高速道路を30km、一般道を約4kmを走ってホテルに到着したのが午後5時。ホテルといってもビジネスホテルなので夕飯はお酒が飲めそうな店を探しての外食。これもまた旅の楽しみの一つ。この二日間はよく歩いたので、多少足に張りがある。今夜はゆっくり風呂に入って明日に備えよう。



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