夏山を彩る野草 --- 八方尾根 ---

旅   行   日   程    ( 2008年)
7月28日(月)
曇一時雨
名古屋 〜 R22 〜 一宮IC (名神高速道路) 小牧JCT (中央自動車道) 岡谷JCT (長野自動車道) 豊科IC 〜R147・R148 〜 白馬 〜 八方尾根散策 〜 白馬(泊) 
走行距離 270km
7月29日(火)
曇時々晴
白馬 〜 R406・R403 〜 須坂長野東IC (上信越自動車道) 更埴JCT (上信越自動車道) 小諸IC 〜 チェリーパークライン 〜 車坂峠 〜 黒班山散策 〜 車坂峠 〜 チェリーパークライン 〜 小諸 〜 R18 〜 大屋 〜 R152 〜 腰越上 〜 R254 〜 丸子温泉(泊)
走行距離 176km
7月30日(水)
晴時々曇
丸子温泉 〜 R254 〜 腰越上 〜 R152・K62 〜 武石峠 〜 美ヶ原高原(思い出の丘・武石峰)散策 〜 K62 〜 武石峠 〜 K464・ビーナスライン 〜 八島ケ原湿原散策 〜 ビーナスライン 〜 扉峠 〜 K67 〜 松本 〜 R158 〜 前川渡 〜 K84 〜  乗鞍高原(泊)
走行距離 185km
7月31日(木)
晴後曇
乗鞍高原 〜 エコーライン 〜 乗鞍岳散策 〜 エコーライン 〜 乗鞍高原 〜 上高地乗鞍スーパー林道 〜 奈川 〜 K26 〜 木祖村 〜 R19 〜 木曽町 〜 R361 〜 伊那I.C (中央自動車道) 小牧JCT (名神高速道路) 一宮I.C 〜 R22 〜 名古屋
走行距離 200km   (総走行距離 831km)
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 7月に入ってから、信州の山巡りをしようと計画を練った。土・日曜日は混雑が予想されるので、ウイークデーでなおかつ晴れ間が続く時期を見計らって出かけようとチャンスを窺っていた。皮肉なものでこんなときに限って土・日の天気が良くて、ウイークデーはすっきりしない天気。そうこうしているうちに梅雨が明け、一気に猛暑が到来した。7月26日(土)、長野県地方の週間天気予報を見ると翌週は晴れが続きそう。とりあえず日程と宿泊地だけを決めた。出発前日の日曜日、ネットで宿を探して予約。携行品をリュックに詰め、すべての準備が整ったのは夜の10時過ぎだった。

[ 7月28日(月) ]
 午前3時起床。まだ夜は明けやらず、街はひっそりと静まり返っている。深夜では車庫のシャッター開閉音がやけに大きく辺りに響くので、前夜のうちに車を玄関先に出しておいた。3時30分自宅を出発。いつものように近くのコンビニで朝食と飲み物を仕入れる。高速道路へ向かう途中の道でガソリンを補給。これで準備万端整った。中央自動車道・小牧IJCTを過ぎると空がうっすらと白くなった。どうやら天気は良さそう。

 岡谷JCTから長野自動車道に入るころには空はすっかり明るくなり、夏の強い陽射しがまぶしい。豊科I.Cを降りて国道147号線に入り、ひたすら北へ向かって走る。大町付近へさしかかると雲行きが怪しくなってきた。そのうちポツポツと雨粒がフロントガラスに当たり始めたと思ったら、雷鳴とともにバケツをひっくり返したようなもの凄い雨が降り出した。ラジオから、能登半島で1時間に80mmの雨が降り、警報が発令されたとのアナウンスが流れる。雨域は次第に金沢、富山に広がりつつあるとのこと。そのまま進めば長野直撃。エーッ!、そんなのアリ〜?

 青木湖を過ぎると雨は次第に小降りになってきたが、前方では時折、黒い雲の中から雷鳴を轟かせて稲妻が走る。八方ゴンドラリフトの山麓駅に着いたときには雨はすっかり止み、ヤレヤレ。時計は7時を少し回ったところ。ゴンドラの始発は7時30分。窓口で切符を買おうとしたら「雷雲が富山から長野方面に移動しており、安全確保のため営業開始を見合わせています」とのこと。8時になって雷雲が南へ去りようやくゴンドラが動き出した。

ハッポウタカネセンブリ


 山麓駅から兎平まではゴンドラリフト。そこからは二つのクワッドリフトを乗り継いで黒菱平・第1ケルンへと登る。高低差1,070mをわずか22分で運んでくれる。空は相変わらずどんよりと曇り、風も強い。月曜日のせいか、登山客は少ない。雨が降らないことを祈りつつ山道を歩き始めた。前回訪れたのは六月下旬だったので今度はどんな花が見れるのか楽しみ。

エゾシオガマ トキソウ ヨツバシオガマ ホソバノキソチドリ
イワオトギリ タテヤマウツボグサ クルマユリ オオコメツツジ

 最初に見つけた白い花がエゾシオガマ。この花は登山道のいたるところで見ることができる。トキソウを見たとき、思わずヤマトキソウだ!と喜んだがよくよく調べてみたらトキソウだった。タテヤマウツボグサも多い。濃い紫色が特徴で、普通のウツボグサとは見分けがつきやすい。クルマユリは葉が輪生するのでこの名がある。よく似たコオニユリは互生。

イワシモツケ イワシモツケ イワシモツケ タカネイブキボウフウ
ミヤマコゴメグサ ミヤマコゴメグサ ムシトリスミレ ミヤマクワガタ

 イワシモツケも全山に咲いていた。マルバシモツケを一回り小さくした感じ。タカネイブキボウフウは、赤紫がかった花が徐々に白く変わっていく。これも面白い花だ。ミヤマコゴメグサは花弁に紫色の筋が入り、イブキコゴメグサと比べると少し大きいかな、とも思える。ムシトリスミレは終盤。クワガタもいろいろ種類があって同定が難しいが、ミヤマクワガタは、花弁にはっきりとした紫色の筋が縞条に走る。

イブキジャコウソウ イブキジャコウソウ ハッポウタカネセンブリ ハッポウタカネセンブリ
ミヤマママコナ ミヤマママコナ キンコウカ ミネウスユキソウ

 イブキジャコウソウは今が旬といったところ。岩陰に小さな群れを作って咲いていた。今回は、ハッポウタカネセンブリを思う存分見ることができた。前回はたった一株だけだったのに、山道のどこを向いてもあの小さな青い花が咲いているのには驚いた。背の高さもマチマチで、姿はバラエティーに富んでいる。ミヤマママコナは盛りがちょっとすぎているのか、花の名の由来ともなっている白いママコがよく出ている個体を探して撮った。

マイヅルソウ ハクサンチドリ ユキワリソウ タカネアオヤギソウ
オヤマソバ クモマミミナグサ イワカガミ ホソバツメクサ

 マイヅルソウが花をつけていたのはこの一株だけ。ユキワリソウも花期が長い。まだまだ立派に咲いていた。イワカガミもほぼ終わりに近く、花をつけていたのはごくわずか。ハクサンチドリは思ったより数が少ない。最も湿地性の花だからこんなもんかも知れない。テガタチドリを探したけれど、とうとう見つからなかった。ツメクサ、ミミナグサ、ハタザオの類はちょっと見は同じような花に見えるので注意しないと区別がつきにくい。

カライトソウ タカネマツムシソウ ミヤマムラサキ ミヤマムラサキ
イワイチョウ キバナノカワラマツバ チングルマ ミヤマウイキョウ

 タカネマツムシソウは普通のマツムシソウと比べると色が濃く、少し大柄な感じ。ミヤマムラサキはこんな山に咲いていなければワスレナグサだと言われても信じてしまうぐらい花の形がよく似ている。風が吹きすさぶ山の稜線に咲いていたのでこの花を撮るだけでも20分ぐらいかかっただろうか。息を止めたままの状態で風が止む瞬間を待ってシャッターを押すのだが、息苦しくなって何度も息継ぎをした。

ミヤマアズマギク ワレモコウ ミヤマダイモンジソウ ミヤマダイモンジソウ
イチヤクソウ ミヤマアキノキリンソウ シロバナクモマニガナ シロバナクモマニガナ

 天気がよければ唐松岳まで行ってみるつもりだったが、いつ雨が降り出すがわからず、風が強くて稜線を歩いていると吹き飛ばされそうになるので今回は第3ケルン付近まで登り、後日、改めてチャレンジすることとした。ミヤマダイモンジソウは痩せ尾根の側面に咲いていたもので、一目でそれとわかった。タカネナデシコはカワラナデシコとよく似ているが、花弁が深く切れ込む。シロバナクモマニガナは、普通のシロバナニガナと区別が難しい。背丈が低いのと、シロバナニガナより全体がなんとなく丸みを帯びた感じがする。

オオバギボウシ タカネナデシコ ハクサンシャジン ミヤマカラマツ
ヤマブキショウマ オニアザミ ハナチダケサシ ハクサンタイゲキ

 ヤマブキショウマ、オニアザミ、チダケサシ類もよく見かけた。どれも地味な花だけに、ついつい撮りそびれてしまうが帰り道に思い直して撮ったもの。ハクサンタイゲキは形の良いものをと思って探していたが、なかなかそれらしきものが見つからず、これも帰路になってなんとか見つけた。第1ケルンまで戻ったのは午後3時。このまま帰っても宿に入るにはまだ早いので黒菱平まで自然研究路を歩いてみた。「何か」を期待したのだが山道の両側は笹藪ばかりで、目立つ花といえばヨツバシオガマ、ミヤマママコナぐらい。ちょっとがっかり。

オニシモツケ クガイソウ シモツケソウ シモツケソウ

 ここに掲載した花は全部で50種類。そのうち初見の花は、オオコメツツジ、イワシモツケ、タカネイブキボウフウ、ミヤマコゴメグサ、ミヤマウイキョウ、タカネマツムシソウ、ミヤマムラサキ、ミヤマママコナの8種類。悪条件下での撮影ではあったがこれだけの花が見れれば満足。いつもの旅行では、宿泊先は翌日の目的地の近くに取るのだがこの日は麓のペンション泊まり。宿ではご主人と写真の話で盛り上がり、楽しいひと時を過ごした。


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