天 生 湿 原  

Vol.2

08年6月1日(日)
 天生湿原は、岐阜県の大野郡白川村と飛騨市河合町天生を分ける天生峠(1300m)から籾糠山(1744m)に至る登山路の中間付近に位置している。愛知県と富山県を結ぶ東海北陸自動車道の未開通区間「飛騨清見I,C〜白川郷I.C」は、この籾糠山直下を国内2番目の長さとなる飛騨トンネル(延長10.7km)が走る。平成19年1月に本坑が貫通し、平成20年7月には全線の開通が予定されている。そうすると名古屋〜富山間は3時間弱で行くことができ、立山・室堂への日帰り旅行も夢ではなくなる。

 天生湿原へは昨年に引き続いて2度目。一週間程前に岐阜県の現地土木事務所へ電話を入れて冬季閉鎖の解除予定を聞いたところ5月31日の午後ということであった。天気予報では当日は雨。翌日曜日に出かけることとした。今回は、現地での時間をたっぷりとるため、自宅を3時半に出発。空は昨日とうって変わって上天気。7時ごろだったか、峠の駐車場に着くと車は20台ほどで、思ったより少なかった。

天生湿原のブナ林。新緑が美しかった。

 最初は木の花ばかりを集めてみた。オオカメノキは登山道沿いの随所に咲いており、タムシバがところどころに混じっている。キリ、タニウツギ、ウワミズザクラは天生湿原へ向かう途中の国道360号線沿いで撮ったもの。イワナシはほぼ終わりがけで、葉の色も褐色を帯びている。花は伊吹近辺で見るものより少し濃い色をしているように感じた。

キリ タムシバ イワナシ オオカメノキ
ハウチワカエデ フッキソウ タニウツギ ウワミズザクラ

 天生湿原では、なんといってもサンカヨウ。天生湿原付近ではすでに満開だった。少し登ったところにある木平湿原あたりではまだこれからといった感じ。そういえば昨年と違って沢には残雪が多く残っていたので今年は開花が遅れているのかもしれない。写真はどれも同じような構図になってしまったが、せっかく撮ったからそれらしく写っていたものを載せた。

サンカヨウ
サンカヨウ

 ツバメオモトも満開。昨年より数が多いように思う。この花は花の大きさに比べて葉が大きく、写真に撮るにはまことに構図が難しい。それでも花数が多いので写りが良さそうなものを選択できるのがありがたい。サンカヨウといい、ツバメオモトといい、雪解けを待って咲く花にふさわしく清楚な雰囲気があって好きな花。だから、ついつい枚数も多くなる。

ツバメオモト
ツバメオモト

 木立に囲まれた湿原に着くと、一面にミズバショウとリュウキンカが周りの新緑と絶妙のコントラスト。立ち寄る人の誰もが感嘆の声を上げ、盛んにシャッターを切っていた。すぐ傍にはブナの巨木が瑞々しい葉を繁らせ、大きな林を作っている。なんとも素晴らしい風景だ。

ミズバショウとリュウキンカが乱れ咲く天生湿原。

 ミズバショウも沢山咲いていたが遠くてアップ写真はちょっと無理。登山道の近くにあるものは形にちょっと難があり、証拠写真程度しか撮らなかった。キクザキイチゲは午前中は花が開ききっていなかったためか、あまり目立たなかったが帰路には沢山見ることができた。ここの花は、薄い紺系のものが多い。その中に紫色をしたものもありなかなか綺麗だった。ヒメイチゲは早朝、雨に濡れて光っているものをと試みたが上手く撮れなかった。残念!。

リュウキンカ キヌガサソウ キヌガサソウ エンレイソウ
キクザキイチゲ ヒメイチゲ タケシマラン イワネコノメソウ

 木平湿原分岐付近の沢へ降りて、何か変わったネコノメソウでも咲いていないかと探してみたら、イワネコノメソウがあった。大きさはハナネコノメと同じぐらい。よく似ているものにチシマネコノメソウというのがあるが、苞の鋸歯の形が鋭いところや葯の色が赤からオレンジ色ヘト変わりつつあるようなのでイワネコノメソウと断定した。これは初見の花。

ノウゴウイチゴ コキンバイ ミツバオウレン ミズバショウ
ミツバノバイカオウレン ***スミレ ギフチョウ ザゼンソウ

 そろそろ昼食をと思って道幅の広いところを選んで倒木に腰をおろしたところ、超が飛んできて目の前のスミレの花に止まった。何かな? と思ったら、なんとギフチョウ。慌ててシャッターを押した。二度ほど行ったり来たりしていたがそのうちいなくなった。それにしてもこの時期の天生湿原でギフチョウに会えるとは思ってもいなかったのでまさにラッキー。

 昨年も見た、花が緑色のニリンソウを探したらやっぱり今年も咲いていた。よくよく探してみると結構数がある。中には白い縁取りがあるもの、ピンクの縁取りがついているものまである。周りの人はあまり気がついていないようだった。帰路は前回と同じように白川郷へ抜け、荘川、ひるかの高原を経て高鷲インターから東海北陸自動車道へ入った。

緑のニリンソウ 緑のニリンソウ ニリンソウ ミヤマカタバミ


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