木曽駒ケ岳  

Vol.4


10年7月27日(火)
 今年最初の木曽駒は雪のため計画の半分しか果たせなかったので捲土重来ということで再度の訪問。夏山は今が花の盛りの時期なので、「さぞかし」の想いを抱いて極楽平に向かった。行先を見上げると、3週間前にはあれだけあった雪も7月下旬とあってさすがにほとんど消えており、まずはやれやれ。ただ、今年は春先から花の咲く時期が掴めず、苦労しているので「よもや」ということもあるかもしれない。

木曽駒・極楽平のチシマギキョウ


 木曽駒神社付近はいつ来てもキバナノコマノツメが沢山咲いており、もう見慣れてしまっているせいか、今回はパスしてしまった。というより、ここでは何度撮っても同じような写真になってしまうので敬遠したと言うほうが正しいのかもしれない。しかし、この花はある程度の高度がなければ咲いていないのだから、見たいと思ってもすぐに見れるわけではない。そういうことを考えながらも足は先へ先へと進む。

タカネヨモギ オオバノヨツバムグラ コイワカガミ コガネイチゴ
オオヒョウタンボク クロクモソウ

 今回は登山道に殆ど雪はなく、歩くにはなんら支障はなかった。極楽平への道にはもう少しいろいろな花が見られるのだが、今年は心なしか少ないないような気がした。タカネヨモギ、クロクモソウ、オオバノヨツバムグラは初見の花。去年より2週間ほど遅いだけなのに、やはり季節の進み具合によって見られる花が少しづつ変わる。欲を言えば、花が咲き始める6月中旬から9月にかけて2週間に1度ぐらい訪れるといいのだが、そんなことは望むべくもない。

アオノツガザクラ キバナノコマノツメ タカネツメクサ
ミヤマダイコンソウ ミヤマキンバイ ミヤマキンポウゲ

 極楽平に着いてみると、意外や意外。ハハコヨモギ、コマウスユキソウ、それにツメクサの類は見かけるものの、ハクサンイチゲ、ミヤマダイコンソウ、ミヤマキンバイ、ミヤマシオガマといった常連さんの顔がほとんど見られない。ところどころにポツンと咲いているのもあるが、とても写真には不向きなほど傷んでいる。どうやら花期が過ぎてしまったらしい。とすると、やはり前回訪れたときが花の見頃だったようである。

ハハコヨモギ コマウスユキソウ
イワギキョウ チシマギキョウ

 せめてもの救いはイワギキョウ、チシマギキョウが沢山見れたこと。最初はほとんどの花が花弁を閉じていたが、時間の経過とともに徐々に花が開き始めた。しかも岩場の片隅にへばりつくように咲いており、写真にはお誂え向きの場所だったのでこちらの方は大満足。ただ、どれだけ引いて撮るか、カメラから花までの離隔をどれほどにしたらよいのか大いに迷った。近すぎるとなんとも味気ないし、かと言って遠すぎると花の美しさがわからなくなってしまう。適当な距離を知るのはまことに難しい。

チングルマ
ミヤマシオガマ ヨツバシオガマ

 登山道脇を注意深く見て歩くとポツポツとクロユリの姿があった。うかつなことに今までクロユリだと思っていたのはどうやらミヤマクロユリと呼ぶのが正しいらしい。というのは、本来、クロユリは北海道地方のみに分布し、本州に自生しているのはクロユリを母種とするミヤマクロユリであるとい言われているようだ。また一説には、クロユリは北海道の草原地帯に咲き、黒褐色をしており、ミヤマクロユリは高山型でやや色が薄いとも書かれている。しかし、山と渓谷社の図鑑「山に咲く花」「高山に咲く花」ではミヤマクロユリという名が見当たらない。

ミヤマクロユリ
ウサギギク ミツバオウレン タケシマラン オオバタケシマラン

 千畳敷カールを歩いた。木曽駒の観光写真にはカール一面に咲くコバイケイソウを前面にして宝剣岳を背景にあしらった写真をよくみかける。ところが今年のコバイケイソウは休み年に当たったらしく、ほとんど見かけなかった。草地を占めるのは大半がシナノキンバイ。八丁坂への登り口付近で、ふと脇を見たらタカネグンナイフウロがあった。以前、上高地で見たときは植栽の中だったので自生のものを見るのは今回が初めて。アラシグサも初見。

タカネグンナイフウロ シナノキンバイ アラシグサ


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