木曽駒ケ岳  

Vol.3


10年7月5日(月)
 今年の木曽駒へはいつもより早めの訪問。というのは、旬のチョウノスケソウ、ハクサンイチゲ、イワウメなどを見たかったからである。今冬の降雪が多かった影響で木曽駒も例年より雪が多いだろうことは覚悟していた。しかし、まさかこんなにも多いとは夢にも思わなかった。ロープウエイを降りて駒ケ岳神社の前の登山道を左手にとり、まずは極楽平を目指した。歩き始めるとすぐに雪道となったが、"なんとかなるだろう"と思いながら進む。

木曽駒・千畳敷カール


 直進していた道が右に折れ、トラバース道に入るとますます雪が深くなってきた。安全を考えてキックステップで1歩1歩慎重に登る。いつもならこの道の両側にも野草が顔を出し始めるのだが、雪に埋もれて花らしき姿は見ることができない。トラバース道の終わり近くに差し掛かったとき、下山してきた二人連れの登山者に出会った。上部の雪の様子を尋ねたところ、"アイゼンも装着せずに登ることは危険だし、ここから先は斜度もキツくなるので登山は断念したほうが良い"。と言うので彼らの装備を確認すると、なるほどピッケルまで持っていた。後ろ髪を引かれる思いはするが止む無く下山を決める。

キバナノコマノツメ
チシマアマナ アカモノ

 下山途中、後ろから二人連れの女性が降りてきたので極楽平の花の様子を聞いたところいろいろ咲いていたという。彼女たちの装備を見るとアイゼンも付けておらず、普通の登山スタイル。"さっき上の方は危険だと聞いた"というと、"何でもなかったよ"との答えが返ってきた。どちらの言うことも本当なんだろうけど、今更引き返す訳にもいかず、宝剣岳方面へ行こうと千畳敷から改めて登り始めた。

コイワカガミ
コマウスユキソウ イワヒゲ

 こちらの道も雪は残っているものの先ほどよりかなり少なく、上まで行けそう。八丁坂を半ばまで登ったあたりから高山植物が見え始めた。この道で初めてチシマアマナにお目にかかった。ホソバノアマナより背丈も低く繊細な感じがする。ハクサンイチゲが岩場のところどころに咲いていて、格好の画材を提供してくれている。雪解け間もないためか、花の種類はそれほど多くはないが、逆に咲き始めたばかりの花が多く初々しい姿を目にすることができた。

ハクサンイチゲ
ミヤマキンバイ チングルマ

 急斜面を登り切ったところが乗越浄土。左手には宝剣岳が荒々しい姿で聳え立っている。宝剣山荘へ立ち寄ってしばし休憩をとった後、付近を散策すると、綺麗に咲いたイワウメを見かけた。チングルマはこの2輪だけ。この日は思わぬ遠回りをしてしまったため時間がなくなってしまい、ロープウエイの終発時刻が迫ってきたので早々に下山することとした。いつの日か濃ケ池から木曽駒ケ岳を巡るコースも歩いてみたいものだ。

イワウメ タカネツメクサ イワツメクサ
ミヤマタネツケバナ ミネズオウ ウラジロナナカマド ショウジョウバカマ


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