八方尾根  

Vol.5

11年7月22日(金)
 八方尾根も5回目ともなると目新しい花にはなかなかお目にかかれない。もっともこの日は多くの種類の野草を撮るというより山の風景にマッチした場所に咲く花を中心に撮るつもりで出かけた。できれば白馬三山や唐松岳、五竜を背景に、という心づもりであったのだが、現地へ着いてみると空は曇り。そのうち雨まで降り出して当初の予定を急きょ変更せざるをえなくなった。それならば霧に浮かぶ花を、との試みもどうやら空振りに終わってしまったようだ。

ハッポウタカネセンブリ


 最初のリフトを降りたところでは、シモツケソウが霧の中に鮮やかなピンクで咲き誇っていた。リフトの終着駅から歩き始めて間もなく、岩棚の上に咲くイブキジャコウソウの群落に出会った。この花は、見た目通りの美しさを写真に収めるのは難しい。エゾシオガマはまだ咲き始めて間もないためか、花はまばら。タカネナデシコはいつもは八方池付近で見かけるのだが、この日はどういうわけか登山道を登り始めてすぐのところに咲いていた。

シモツケソウ ニッコウキスゲ イブキジャコウソウ イブキジャコウソウ
エゾシオガマ エゾシオガマ タカネナデシコ タカネナデシコ

 八方尾根と言えば、まず思い浮かべるのがハッポウタカネセンブリ。小さな花である上に、茎が長くていつも風に揺らいでいるため、ピントを合わせるのに一苦労。「いつもと違った雰囲気で」撮りたい、と思いつつの撮影だったが出来上がってみれば「いつか見たような」花姿。あの特徴のある青い斑点がわかるようにしながら、なおかつそれなりの雰囲気を出すにはどうやって撮ればよいのだろう。

ハッポウタカネセンブリ
ミヤマアズマギク ミヤマアズマギク ユキワリソウ ユキワリソウ

 これまでミヤマアズマギクは終盤近くの花しか見れなかったが、今回は勢いのある姿を見せてくれた。花の色は薄いピンクから濃いものまでバリエーションに富んでいる。ただ、撮影となるとどこに咲いているものでもよいというわけではなく、できるだけ背景がスッキリしている場所に咲く花を撮りたい。そう思うとなかなか「これ」という花が見当たらない。ユキワリソウは今まさに満開といった状態。しかし、遠くて写真を撮りづらいのが難点。

ミヤマムラサキ ミヤマムラサキ ミヤマムラサキ ハッポウウスユキソウ
ホソバツメクサ ホソバツメクサ クモマミミナグサ クモマミミナグサ

 ミヤマムラサキは、霧の中では背景に溶け込んでしまうため、岩を背景にした。ホソバツメクサ、クモマミミナグサは、できるだけ高山に咲いているという雰囲気を出すため、青空ならば遠くの山を背景に撮りたいところなれど、霧に包まれていてはそれも叶わず。この日、楽しみしていたタカネバラは、花期がすでに終わっており、咲いていたのはただ1輪。しかも遠くにあったため、大幅にトリミングしてようやくこの大きさ。八方池付近ではチシマギキョウが綺麗に咲いていた。

タカネバラ チングルマ チシマギキョウ チシマギキョウ
ムシトリスミレ ムシトリスミレ ミヤマコゴメグサ タカネニガナ

 ムシトリスミレ、ミヤマコゴメグサは笹藪の縁にわずかに咲いていただけ。この二つも本来ならばもう少し数があるはずなのに、あまり見かけなかったのはどうしたのだろう。キンコウカやキソチドリは登山道の至るところで見かけた。こんなに多くの花を見たのは今回が初めて。それに対して、ヨツバシオガマは数が少なく、ハクサンチドリなどは数えるほどしか咲いていなかった。

オオバギボウシ ヨツバシオガマ ウラジロヨウラク ハッポウアザミ
クルマユリ タカネアオヤギソウ キンコウカ キソチドリ



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