八方尾根  

Vol.4

10年7月21日(火)
 八方尾根へは今回で4回目になるだろうか。少しずつ現地の地理的の理解が深まるにつれて距離感が掴めるようになり、遠いと思っていた八方池までの距離もなんとなく短く感じられるようになってきた。この日は朝から晴れ上がり天気は上々。この調子ならば山岳風景をバックにした野草写真が撮れそう。最近は、超広角レンズを使ってこうした写真を撮るのが楽しみの一つになっている。とはいえ、何でも背景に山があればいい、というものでもないが・・・

八方尾根・ニッコウキスゲ


 リフトの終点に着いた頃から次第に雲の量が多くなってきた。もちろん空を覆い尽くすほどではない。登山道脇の斜面にはイワシモツケ、コメツツジが点々と咲いている。その中に埋もれそうになりなからも時折ミヤマママコナが頭を出す。花を探しながら歩いていたら、10人ほどのパーティーが前の方にいて、ガイドらしい人がコメツツジとオオコメツツジの違いを説明していた。それによると、「花茎に花を2つ付けるのがコメツツジでオオコメツツジは3個以上。コメツツジの葉脈は1本、オオコメツツジは3本。コメツツジの花冠は5裂し雄しべも5本、オオコメツツジは花冠が4裂し雄しべも4本。」ということらしい。

キンコウカ シナノタイゲキ クルマユリ クルマユリ
イワシモツケ イワシモツケ ミヤマママコナ ミヤマママコナ

 ハッポウタカネセンブリを探してみるものの、なかなか「これ」といった株に出会わない。もちろん、すでに花は咲いているがまだ蕾が多いようにも感じられた。そうこうしているうちにクワガタソウに出会った。6月に北海道で見たキクバクワガタかと一瞬思ったが、帰宅後に調べてみたらミヤマクワガタ。その場の雰囲気、環境も写し込もうとすると、どうしても引いた写真になり、相対的に花が小さくなってしまうのはやむを得ない。

ミヤマイワニガナ キジムシロ ナメルギボウシ ハクサンシャジン
ミヤマクワガタ ミヤマクワガタ ハッポウタカネセンブリ ハッポウタカネセンブリ

 ふと白っぽい花に目をやると、なんとトキソウ。1株だけポツンと咲いていた。ミヤマリンドウはタテヤマリンドウとよく似ている。掲載した写真では判別しにくいけれど、ミヤマリンドウはかなり色が濃い。タテヤマリンドウはハルリンドウの高山型で、色は紺というよりブルーといったほうが分かりやすい。また形も小さい。どちらも草地や湿地などに生えるので単体で見ると迷うかも。

トキソウ ミヤマリンドウ ハクサンチドリ クモマミミナグサ
ミヤマアズマギク ミヤマアズマギク ユキワリソウ ユキワリソウ

 高度が上がるにつれてミヤマアズマギクが増えてくる。やはりまだ草丈が低いように見える。湿った草地にユキワリソウが群生していた。群生といっても規模はそれほどでもないが、あの可憐な花はやはり群れている方が綺麗に見える。八方池付近まで行くと花の種類が多くなる。岩礫地なので岩場を好む花がよく目につく。

ミヤマムラサキ ミヤマムラサキ キバナカワラマツバ タカネバラ
チシマギキョウ チシマギキョウ ミヤマダイモンジソウ ミヤマダイモンジソウ

 ムラサキ科の花は、ワスレナグサ、ヤマルリソウ、エゾムラサキ、キュウリグサなど、どれも小さな花をつける。植物写真家のいがりまさし氏によれば「高山帯でワスレナグサに似た花を見かけたら,まずミヤマムラサキでまちがいないだろう。」とのこと。そう言えば、標高約1,500mの上高地で見たのはエゾムラサキ。上高地の標高では高山とは言い難い。お馴染みのヤマムラサキは低い山でお目にかかる。

タカネマツムシソウ ウラジロヨウラク イブキジャコウソウ タカネナデシコ
ハクサンオミナエシ タカネアオヤギソウ チャボゼキショウ カライトソウ

 今回は丸山ケルン辺りまで足を伸ばそうと頑張ってみたけど時間が足らず、下の樺(しものかんば)を過ぎた辺りまでしか行けなかった。宿では八方池から丸山ケルンまでの所要時間は約1時間と聞いていたが現地で登山者に聞くと2時間はかかるとのこと。時刻はすでに2時を少し回っており、下山に要する時間を考えると引き返す時間ではある。帰り道、綺麗なムシトレスミレを見つけて撮影。往路ではなぜか気が付かなかった。

ヒロハヘビノボラズ ヒロハヘビノボラズ ムシトリスミレ ムシトリスミレ
ミヤマタンポポ タカネシュロソウ テガタチドリ ヨツバシオガマ



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