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花の名山めぐり 〜 再び秋田駒ケ岳 〜


7月26日(木) 晴れ

[ 行程 ]
田沢湖高原 バス「駒ヶ岳線」 ==> 秋田駒ケ岳八合目 ==> 片倉展望台 ==> 阿弥陀池 ==> 馬の背 ==> 横岳 ==> 阿弥陀池 ==> 浄土平 ==> (旧道) ==> 秋田駒ケ岳八合目 バス「駒ヶ岳線」==> 田沢湖高原 K127 ==> 田沢湖橋 R341 ==> 生保内 R46 ==> 盛岡I.C 東北自動車道 ==> 一関I.C R342 ==> 須川温泉
 (注) 道路番号の「R」は国道、「K」は県道。道路番号がないところは徒歩。
  [周辺地図]

[ 二日目の秋田駒ケ岳 ]
 いよいよ東北の旅も後半にはいる。今日も6時の始発のバスで秋田駒ケ岳に向った。東北へ来てからずーっと好天気に恵まれ、今が梅雨の最中にあるということをつい忘れてしまいそう。八合目の水場で水筒に湧き水を汲んで、いざ出発。上りは昨日と同じ片倉岳(新道)コースを取る。

大焼砂から田沢湖を望む。右は男岳。

 昨日よりジックリ花を探して歩いたせいか、ウメバチソウの数が増えていたように思う。ミヤマホツツジはもう少し白っぽい花だと記憶していたが、時期が遅いのか、赤みがかった色をしている。秋田駒ケ岳では6月下旬から7月初旬にかけてが花の最盛期だというから多分そうなのかもしれない。そういえば、ミヤマダイコンソウも終りに近く、花弁を落としたものが多かった。

ヤマブキショウマ ハクサンシャジン アキノキリンソウ ウメバチソウ
ミヤマホツツジ ミヤマダイコンソウ シロバナトウチソウ エゾシオガマ

[ 横岳へ ]
 この日は、男岳への登山路を少し登ったところから左に折れて「馬の背」へ向う。登山路は文字通り人のすれ違いができないほど道幅が狭く、両側が切り立った崖になっているのでちょっと怖い。しかし、景色は抜群で見晴らしが良い。眼下には先程通り過ぎたばかりの阿弥陀池が紺碧の青空の下に細長く横たわっていた。遠くに見えるのは岩手山だろうか。

馬の背から阿弥陀池を望む

 この日はできるだけ風景写真を、と心がけたつもりだった。天気は申し分ないのだが目で見た感動をそのまま写真で伝えるのは簡単なようでなかなか難しい。抜けるような空の青、瑞々しい木々の緑はカメラの設定条件がよほど整わないとうまく表現できない。デジカメはフィルムカメラより適正露出範囲がシビアーだというがなるほどとうなずける。

左:男女岳・右:田沢湖 阿弥陀池から男岳 馬の背から阿弥陀池 ハンサンシャジン

 馬の背の突き当りが横岳。ここでもう11時を過ぎてしまった。頂上は平らになっており、大勢の人が弁当を広げていた。その中で老齢の女性から "花の写真ですか?" と話しかけられ、"そうです" と答えると、"すぐそこにミヤマハンショウヅルが咲いていましたよ" と教えてくれた。雑談していたら、山登り歴30年で年齢はすでに80歳を超えていると聞いてびっくり。しかも、これから乳頭山へ縦走するという。タフな老人が居るものだと感心した。自分もこうありたいものだ。

ミヤマハンショウヅル。樹陰にひっそりと咲いていた。

 昼食後、しばらく横岳で写真を撮り、阿弥陀池避難小屋のあるところへ降りて池の辺で一休み。とは言っても今日の宿、須川温泉までは210kmもあるので、そろそろ下山しなければならない。ここから浄土平へはほんの僅かの距離。あとはひたすら下るだけの道。

ハクサンシャジンはこんなところに多い  男女岳(右)と男岳(左)

 阿弥陀池の近くで、コマクサの傍にたった一株だけイワブクロが咲いていた。植生の再生のために植えられたものかもしれない。オヤマソバは多分どこかで見たことはあると思うが名前を知ったのはこの時が初めて。阿弥陀池避難小屋を男女岳方向に進むと浄土平に入る道がある。旧道コースはここから始まる。

イワブクロ コマクサ オヤマソバ ウメバチソウ
ヒナザクラ。いつ見ても清楚で美しい。

 浄土平には木道が敷かれ、左右を見渡すとトウゲブキ、ネムロシオガマ、ハクサンシャジン、ニッコウキスゲ、チングルマ、キンコウカなどがそれぞれに群落を作って咲いている。散策するうちにヒナザクラが群生している場所を見つけた。強い日差しを受けて眩しいばかりに輝いている。

浄土平のお花畑 マルバシモツケ? ハクサンシャクナゲ チングルマ
タカネアオヤギソウ トウゲブキ ミヤマリンドウ キンコウカ

 道は次第に樹林帯へ入り、傾斜も急になってきた。ここまで来ると花はグッと数を減らす。途中に、「ここは道が整備されていないので自信のない人は通らないように」という看板が掲げられていたが通行止めにはなっていないので、そのまま先を進む。時々、思い出したようにミヤマハンショウヅルが木の枝の間から顔をのぞかせる。

ミヤマハンショウヅル

 樹林帯を抜けると道はザラザラとした粒状の小石が混ざる砂地になった。ここはかっての硫黄採掘場の跡で、左側には荒涼たる風景が広がっている。山の斜面を少し削り取っただけの、道とも言えないような道で、幅も狭く、ちょっと油断すると滑って転びそうになる。先程の看板の意味がここに来てようやく分かった。

 八合目へ降りたのは12時50分。ちょうど5分後にバスの便があり、宿に戻ってお世話になったお礼と、お別れの挨拶をした。時刻は午後1時30分。宿を出てからふと秋田駒ケ岳の遠景写真を撮っていなかったことに気がついて路肩に車を止めてパチリ。遠くから眺めるとあの美しさからは想像できないなんの変哲もない山のように見える。

 田沢湖高原温泉から栗駒山へは、国道341号線で盛岡インターへ出て、東北自動車道を南へ92km。これが思ったより長く感じられた。一関インターで高速道路を降りるとガソリンが残り少なくなっていたので、ナビでガソリンスタンドを探して給油。ここから先は国道342号線を西に向けて走れば一本道。

 今日の宿は栗駒山登山口にある山荘。いざ着いてみると山荘という名に似合わず立派な建物で、中へ入ったらまるでホテルそのもの。夕食はちょっとしたディナーのような感じで嬉しい誤算。窓から外を見ると、陽が落ちて夕闇が迫った山の稜線上に美しい残照が広がっていた。

栗駒山の夕暮れ


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