--- 北信州・春の花旅 白馬山麓の湿原 ---

旅   行   日   程    ( 2012年)
5月8日(火)
晴れ
名古屋IC (東名高速道路)  -- 小牧JCT (中央自動車道) -- 岡谷JCT (長野自動車道)  -- 豊科IC -- R147・R148・K393 -- 居谷里湿原 -- K393・R148  -- 黒沢高原 -- R148 -- 白馬山麓 -- R148 -- 姫川源流・親海湿原・貞麟寺 -- 姫川源流(泊) 


[ 5月8日(火) ]

[ 居谷里湿原 ]
最初の訪問地「居谷里湿原」は、「仁科三湖 (木崎湖、中綱湖、青木湖) のうち、南端の木崎湖畔にある大糸線「稲尾駅」から稲尾沢川沿いの道を約1kmほど遡上した山中に拡がる低層湿原で、その規模は幅130m、長さ1500m、面積約2万平方キロメートル。湿原の周囲には遊歩道が設けられており、約1時間ほどで一周することができる。3月から5月上旬にかけては、後立山連峰の五竜岳、鹿島槍ヶ岳を背景に、ミズバショウ、リュウキンカ、ザゼンソウなどの湿性植物が湿原に彩りを添える。因みに、後立山連峰は、富山県側からの呼び名で、立山連峰の東に流れる黒部川を隔ててその後に対峙する山群を示す。

仁科三湖の「仁科」とは、伊勢神宮領仁科御厨(みくりや)の御厨司(荘官)である豪族仁科氏がこの地に移り住み、勢力を拡大するにつれ、この地方一帯が仁科と呼ばれるようになった。長野県の古名である「信濃」は、古くは「科野」と記したが、その後、「信野」を経て「信濃」へと移り変わっていったもの。この地方で「シナノキ」を多く産出したのが「科野」の由来ともされている。なお、「信州」は「信濃」の別称。

居谷里湿原・ミツガシワ


この年の冬は多雪でどこの山も春の花の開花が遅れていることを考慮して、旅行日程をいつもより遅くした。しかし、いつの間にか季節の歩みが早くなったとみえて、ザゼンソウは既に終りを告げ、ミズバショウも葉が伸びてしまっていた。リュウキンカだけはかろうじて勢いをとどめていたものの、ミツガシワはまだ咲き始めたばかりで山を背景にした写真を、という目論見が外れて少々ガッカリ。せめてもの救いはチシオスミレが見れたことだが、これも訪れた時間が早すぎて花が開くに至らず、不本意な結果となってしまった。

リュウキンカ リュウキンカ ミズバショウ ミツガシワ
ウスバサイシン ウスバサイシン チシオスミレ オオタチツボスミレ?

[ 黒沢高原 ]
今回の旅行の計画を練っているときに、時間的余裕があれば行ってみたいという候補地もいくつかリストアップしてあった。居谷里湿原での撮影が予定よりかなり早く終わったので、予備として考えていた「黒沢高原」へ行ってみることとした。事前にネットで調べたところによると、そこには湿原があり、鹿島槍ヶ岳を背景にして撮ったカタクリ、ミズバショウなどの写真が添えられているサイトもあった。運がよければそうした風景も見られるだろうという微かな期待を抱きながら現地に向かった。

黒沢高原・ミズバショウ


結果は大正解で、湿原には見頃を迎えたミズバショウが咲き誇り、青空のもとに真白な雪を頂いた鹿島槍ヶ岳を樹間から遠望することができ、まさに花風景写真にはお誂え向きの風景が広がっていた。スキー場のレストハウス関係者らしき人の話によれば、山道をもう少し上まで登れば開けた場所にカタクリの群生する場所があるようだが、見知らぬ土地でのことでどれくらいの時間がかかるかも分からず、この先の訪問地のことも考えてまたの機会に訪れることとしよう。下欄のキクザキイチゲは、次の目的地への道すがら、山林の中にポツポツ咲いているのを見かけたもので、濃い赤紫色をしているのが特徴的だった。

ミズバショウ ミズバショウ ミズバショウ カタクリ
キクザキイチゲ

[ 白馬山麓 ]
黒沢高原を後に、姫川源流へと向かう。その前に、昨年春に姫川源流を訪れたとき、宿のおかみさんから白馬山麓にカタクリ、キクザキイチゲが群生する場所があるという話を聞いていたので、そこへも立ち寄ってみることとした。白馬山麓と言ってもそのエリアは広い。白馬連峰そのものが、後立山連峰のうち、白馬岳を中心とする連峰北部の山群を指し、大糸線沿いの「五竜スキー場」から「白馬コルチナスキー場」までの間に連なるスキー場群の後ろに屏風の如く聳え立つ山々のことを言う。そんな訳で、宿に電話して場所の詳細を尋ねた。なお、ここはあまり知られていない場所で、訪れる人も少ないとのことであったので、具体的な場所は伏せさせていただく。

白馬山麓・カタクリ


現地に着いてからものの5分も歩かないうちに、カタクリの群落を見つけた。なんと、その中には白花も数輪混じっている。周辺を少し歩くと、ブルーや白のキクザキイチゲも点々と小群落を作って咲いている。後で知ったことだが、教えていただいたのはこの場所ではなくもっと上に登ったところらしく、そこでは山も遠望できたはずと聞き、惜しい思いはしたもののまた来年の楽しみができたと思えばよい。ここで撮影している間に空が曇ってきて、この調子でいくと姫川源流ではキクザキイチゲやカタクリの花が閉じてしまうことも考えられたので先を急いだ。

カタクリ カタクリ キクザキイチゲ キクザキイチゲ

[ 姫川源流・親海湿原 ]
さて、いよいよ姫川源流。姫川は、長野県北安曇郡白馬村神城地内に源流があり、国道148号線。JR大糸線と寄りそうようにして流れ下り、新潟県糸魚川市で日本海に注ぐ。源流一帯を姫川源流と呼んでおり、早春にはフクジュソウ、ニリンソウ、キクザキイチゲ、カタクリなどが咲く。訪れたときにはフクジュソウ、ニリンソウはほぼ終り、カタクリも最盛期を少し過ぎていたようだった。キクザキイチゲももちろん見ることはできたが、保護ロープが厳重に張りめぐらされており、思うような位置からの撮影は困難だった。

姫川源流からの遊歩道を奥に進むと親海湿原がある。ここのミツガシワの群生は有名で、湿原が一面真白な花に覆われる。しかし、残念ながらまだ咲き始めたばかり。木道からかなり離れたところに大きな群落がみられたが遠すぎて絵にならない。ここは何度も訪問しているが、心がけが悪いのかまだ一度も最盛期に出会ったことがない。元々、見たい花を一度に見ようというのが贅沢な話で、花の時季に合わせてこまめに出かけるしかない。

姫川源流・フクジュソウ


まだ宿のチェックインの時刻には早かったので周辺を回ってみた。白馬山麓では道端やちょっとした杉林の中にも無造作にキクザキイチゲやカタクリが咲いており、自分の住むところからみれば羨ましい限り。下欄の写真の上段と下段のキバナノアマナは姫川源流周辺、ミツガシワは親海湿原、ミツバアケビ、カタクリはJR大糸線南神城駅周辺を散策した時に撮影したもの。

キクザキイチゲ フッキソウ サワハコベ ヒメニラ
ミツガシワ カタクリ ミツバアケビ キバナノアマナ



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