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大雪山にも各所に大小の沼や湿原が点在しており、その周辺を彩る花たちとともに美しい景観を見せてくれている。また、雨竜沼湿原、浮島湿原は人里離れた山中にあり、その語感からしていかにも秘境を思わせ、都会で暮らす人間の想像力をかきたてる。この茫洋とした北の大地への憧れが、今回、大雪山をメインとする湿原を訪ね歩くことの動機ともなった。
[ 出 発 ]
例年ならそろそろ梅雨明けという時期なのに全国的に天候不順で、出発のこの日も朝からどんよりとした曇り空。中部国際空港から飛び立つのは今回で3度目とあって、空港内の様子もわかっており、出発時刻の1時間前に到着して昼食をとるつもりだった。愛知万博の開催中は大変な賑わいをみせたが、もうそれほどの人出はないだろうと思っていたら、家族連れを中心に多くの人が見学に訪れており、食堂はどこも満員。
どうやら4階のイベントプラザで催し物があるらしく、屋台も立ち並んでいた。食堂に入るため延々と続く行列に並ぶ気にもなれず、味気ないが屋台で昼食代わりのスナック類を買って空腹を満たすこととした。喫茶店だけはなんとか入れたので搭乗手続開始までの間、大雪山のガイドブックなどを読んで時間潰し。
飛行機は12時55分発のANA325便。いつものように15分前に出発ロビーへ。機内は団体客が多く満席。手荷物は万が一のことを考えてカメラ一式だけを持ち込んだ。リュックにはカメラバッグが内装されており、それを取り出すだけだったので至って簡単。飛行機が空港を飛び立つと窓の外は相変わらずの曇り空で雲海が機体を丸ごと包み込み真っ白。為すこともなく、しばし睡眠。
青森上空から津軽海峡にさしかかったとき、雲が次第に薄くなって真っ青に澄み渡った空が果てしなく広がっている。一瞬
"もしかしたら"
との期待も膨らんだが、北海道の内陸部に入ったとたん、厚い雲が空を覆ってしまった。旭川空港に降り立ったのは午後2時45分。レンタカーを借りて行き先を雨竜町にセットした頃にはもう3時半近くになっていた。ここから宿まではおよそ70kmの道程。
旭川鷹栖I.Cから道央自動車道に入り、札幌方面に向けて走る。道は空いており、行き交う車も少なくて快適なドライブだ。爽快な気分を十分味わう前に車は早くも深川西I.Cについてしまった。それもそのはず、この間の距離はわずか36km。そんな短い距離であったのに対向車線で覆面パトカーのご厄介になっている車を2台ほどみかけた。用心、用心。
[ 雨竜到着 ]
ナビを頼りに青々とした田園地帯を走り、国道257号線に入る。目的地まではあとわずか。夏の陽は高く、午後4時半近くになっていても夕暮れの気配を見せない。そうこうしているうちにナビのアナウンスが目的地への到着を告げた。ところが周りには民宿らしき家が見当たらない。電話番号で目的地をセットしたのに変だなあと思いつつ、それらしきところを探してみても一向に見つからない。
止む無く道路脇の空き地に車を止めて携帯で宿に電話してみると、まだ数百メートル近く先とのこと。最近はGPSの精度が上がって、誤差はせいぜい数メートルから十数メートルとも聞いたことがあるが、そうでもないらしい。宿の人に言われた通り車を走らせると、左手にドライブインが見え、看板に目をやると確かに今日の宿泊先の名があった。とりあえず
"ホッ!"。
ところで、「雨竜」という町の名はなんとなく意味ありげだったので、町名の由来を調べてみると、やはりここもアイヌ語起源であった。雨竜町ホームページによれば、『雨竜(うりゅう)とは、アイヌ語の地名「ウリロペツ」(鵜の多い川という意味)より転訛しもので、雨竜川の河口に多くの鵜が生息していたことから、このような名が付けられたといわれています。』とのこと。
雨竜川はピッシリ山地に属する相志向岳にその源を発し、雨竜町で石狩川(アイヌ語のイ・シカラ・ペツ「非常に曲がりくねった川」)に合流した後、日本海に注ぐ。一方、南暑寒別岳の山懐から流れ出たペンケペタン川(アイヌ語で川上にある鹿の泥遊び)は、長い年月をかけて雨竜沼湿原を育み、尾白利加川を経て下流で石狩川に合流する。
午後5時、宿に入ってチェックインを済ませ、夕食時間までのしばらくの間、周辺を散歩することとした。宿は山裾に位置していて裏庭が雑木林になっている。思ったより花が少なく、とにかく目についた花を手当たり次第に撮った。
センダイハギ | ルピナス | これもルピナス? | ウツボグサ |
なんの葉だろう? | ??? | イブキセリモドキ? | マルバハギ |
ノカンゾウ | オトギリソウ | クサフジ | ヨツバヒヨドリ |
雨竜沼湿原までは26km。所用時間を尋ねると "山路だから1時間はみておいたほうがいい"
とのこと。現地でゆっくり時間を取るため7時には登山口まで行きたかったので、5時半起床、6時出発と決め、早々に眠りに就いた。