2007  


07年6月23日(土)
 梅雨の真っ最中、束の間の晴れ間を見つけて一泊二日で白馬へ出かけた。今回の目的地は栂池自然園と八方尾根。早朝5時に自宅を出発。前日の雨もすっかり上がって、まるで秋のような澄み切った青空が広がっている。高速道路を走っていても車窓を移り行く山々の木々の緑がくっきりと見える。栂池自然園に着いたのは8時半を少し回った時刻。既に大勢の登山客の車が駐車場に並んでいた。

 栂池自然園は昨年の夏にも訪れ、期待に違わず多くの花を見ることができた。今年は少し時期を早めて初夏の花を求めての山歩き。ゴンドラリフトとロープウェイを乗り継いで到着駅に降り立つと、まだたっぷりと雪を被った白馬三山がミズバショウやリュウキンカの咲くお花畑の向こうに聳え立っていて、正に絶景。

右端は白馬岳、大雪渓を挟んで杓子岳、鑓ケ岳


 栂池ヒュッテからミズバショウ湿原へ入ると真っ先にリュウキンカの群生がお出迎え。ミズバショュウも広い湿原の中に点々と真っ白で優美な姿を見せてくれている。木道に沿ってワタスゲ湿原に向かうと、早速お目当ての花、シラネアオイに出会った。5月に「白馬山麓植物園」で見たものとは異なり、少し小ぶりながら自生のシラネアオイならではと思わせるような瑞々しさにあふれていた。

シラネアオイ タケシマラン タカネザクラ エンレイソウ
コイワカガミ カラマツソウ オオカメノキ ゴゼンタチバナ

 ワタスゲ湿原ではワタスゲが目立たない花をつけていたが、うっかり撮影するのを忘れてしまった。浮島湿原を経てやせ尾根を登ると、登山道脇にオオサクラソウが陽の光を浴びて濃いピンクを輝かせ、イワナシも足元近くで可憐な花をつけている。ここではまるで春が始まったばかりのような雰囲気さえ漂わせていた。やせ尾根を登りきると白馬連峰の大パノラマが目の当たりに広がっていた。

白馬三山


ミズバショウ ベニバナイチゴ サンカヨウ オオサクラソウ
イワナシ ツマトリソウ ツマトリソウ ヒメイチゲ

 やせ尾根を登りきってから展望湿原へ行くと数十人の登山客が階段状の椅子に腰掛けて風景を眺めていた。ここで昼食。雄大な景色を眺めながらの食事はまた格別。時が経つにつれて白馬三山の頂上付近に雲がかかり始めた。青い空と刻々変化する真っ白な雲。何時まで見ていても飽きない。

白馬連峰の雄姿


リュウキンカ ミヤマカタバミ チングルマ キヌガサソウ
ミツバオウレン ノビネチドリ ミヤマキンポウゲ テングクワガタ

 帰路はワタスゲ湿原を一回り。往路ではあまり見かけなかったヒメイチゲが無造作に咲いていた。キヌガサソウ、サンカヨウなどを撮りながら下山する。ゴンドラリフト駅付近ではテングクワガタやオオバミゾホオズキが群生しており、ゴンドラリフトの終発近くまで思う存分楽しんだ。
 下山後、姫川源流・親海湿原に立ち寄って一巡りしてみたが、春とは異なって一面の草原。花らしい花もなく全くの期待外れだった。やはりここは早春に訪れるところのようだ。

ズダヤクシュ オオバミゾホオズキ ノウゴウイチゴ ムラサキヤシオツツジ

 今日の泊まりは八方尾根の山麓にある民宿「時計館 Goes On」。山荘風の洒落た造りで、家の周りはクガイソウやタテヤマウツボグサなどの草花でいっぱい。部屋も綺麗でサービス満点。宿のご主人と奥さんも終始笑顔で迎えてくれて心地よく過ごすことができた。

八方尾根 民宿「時計館 Goes On」http://www7a.biglobe.ne.jp/~tokeikan-goes_on/index.html


07年6月24日(日)
 さすがに梅雨の真っ只中とあって、この日は朝から曇り。午後からは雨が降り出すとの予報で、リュックに雨具を詰め込み、午前8時宿を出発。予定では黒菱林道を車で登り、黒菱第3ペアリフトで八方池山荘まで行くつもりだったが、黒菱林道が6月末まで通行止めとのことで断念。八方山麓駅からゴンドラリフトで兎平まで登り、クワッドリフト2本を乗り継いで八方池山荘へ向かった。

ハッポウタカネセンブリ。青の斑点が美しい。


 八方池山荘へ着くと、トレッキングスタイルのグループが三々五々山道を登っている姿が見える。曇っているためか少し肌寒い。散策路を歩き始めるとタカトウダイに似た花を見つけた。ちょっと花の形が大きいので調べてみるとハクサンタイゲキだった。コバイケイソウはようやく咲き始めたばかりで、葉の間からチョッピリ花穂の頭を覗かせている程度。

ハクサンタイゲキ コバイケイソウ イワカガミ キバナイカリソウ
アポイゼキショウ(チャボゼキショウ) ムシトリスミレ ムシトリスミレ

 アポイゼキショウ(別名:チャボゼキショウ)は、ハルトラノオによく似ているが葉の形がまるで異なる。アポイゼキショウはユリ科のチシマゼキショウ属だが、ハルトラノオはタデ科タデ属と分類的にも全く別の花。ムシトリスミレもスミレの名が付いているがタヌキモ科ムシトリスミレ属の食虫植物の一種。

咲き始めたばかりの ハッポウタカネセンブリ イワイチョウ
ユキワリソウ マイヅルソウ ミヤマタンポポ ヒロハヘビノボラズ

 山肌に5mmにも満たないぐらい小さな青い花を見つけてカメラで覗いてみると、花弁に青い斑点がいくつも見える。八方駅で買った写真シートで確認するとハッポウタカネセンブリ。その美しさに何枚もシャッターを切ったが風で花が揺れるのと手ぶれのため、まともな写真はたったの四枚。コース中、ただ一箇所しか咲いていなくて貴重な写真となったのでそのすべてを掲載しておいた。

キバナノコマノツメ


ミネウスユキソウ ミネウスユキソウ キジムシロ ミヤマアズマギク
大雪山でも見ることができなかった キバナノコマノツメ ミヤマタネツケバナ

 唐松岳へ上る登山道の一部、黒菱平から八方池に至る八方尾根自然研究路は、冬はスキー、春から秋にかけてはトレッキングコースとして大勢の人が訪れる。この散策路での最大の楽しみはキバナノコマノツメとユキワリソウだった。幸い、どちらも出会うことができて大満足。生憎、午後から雨となったがこれだけ多くの花を見られたことは望外の喜びだった。

ウメハタザオ ツリバナ タカネバラ ウラジロヨウラク

 昼食後、次第に雨脚が強くなってきたので早めに下山することとした。出かける前は居谷里湿原へも立ち寄ろうかと考えていたが、昨日の姫川源流の様子では多くを期待することはできず、またの機会に譲ることとして一路名古屋への路をとった。

inserted by FC2 system