乗  鞍  岳  


07年8月26日(日)
 乗鞍岳は、岐阜県と長野県の県境に聳える標高3,026mの山である。かっては自家用車で2,700mの畳平まで登ることができた。しかし、排ガスや踏み荒らしなどによって高山植物の傷みが激しくなり、自然保護のため現在はマイカー乗り入れ規制が行われている。今年、規制を継続するかどうかの見直しが実施されたようだが、結論は更に3年間の延長となった。

 畳平まではシャトルバスが運行されており、岐阜県側は平湯から乗鞍スカイラインで1時間。長野県側からは乗鞍高原の観光センターから乗鞍エコーラインを利用して50分で行くことができる。ご来光を拝みたい人は午前3時半ぐらいのバスに乗ればちょうど日の出に間に合うよう到着する。
 今回は、長野県側の乗鞍高原温泉から乗鞍エコーラインのシャトルバスに乗って肩ノ小屋登山口を起点に、剣ヶ峰、畳平を回る予定を立てた。コースが長いので自宅を4時半に出発し、中央自動車道・中津川I.Cを経て国道19号線を北上して木祖村から寄合渡へ抜け、乗鞍高原温泉を9時発のバスに乗るつもりで出かけた。 

花を咲き終えたチングルマの下にイワギキョウが・・・


 木祖村を通過したのが午前7時前後。この調子だと8時のバスに乗れるかもしれないと、途中の道路脇に咲く花の撮影を我慢して先を急いだ。上高地乗鞍岳スーパー林道の入り口に着くと、今日まで通行料が無料の張り紙があった。ラッキー!。一の瀬園地への分岐点あたりから道路脇に駐車している車が増え、やたらと自転車が目に付くようになった。

 何かイベントでもあるかと思いながら走り、乗鞍高原温泉に着いたのが7時45分ぐらい。8時のバスに間に合うぞと内心喜んだのも束の間。夥しい自転車がいつもの駐車場にあふれており、係員にどこへ駐車すればいいのか尋ねたところ、「本日は自転車のロードレースがあって、午前中はシャトルバスは運行されません」との答え。え〜〜〜っ!!、そんなのアリ〜〜〜? と、しばし絶句。

 よく見れば、「第22回全日本マウンテンサイクリングin乗鞍大会」の当日だったのだ。後で調べてみたら、3,500台ものマウンテンバイクが畳平までの20km余の道を登るのだという。止む無く急遽予定を変更して岐阜県側の平湯に向かい、乗鞍スカイラインから畳平へのシャトルバスに乗ることにした。

初めて見たトウヤクリンドウ。期待に違わず美しかった。
イワツメクサ イワツメクサ コマクサ コマクサ

 バスが畳平に近づくと、車窓からトウヤクリンドウ、イワギキョウが見える。今日の花では最も楽しみにしていた花だ。しかも、思っていたより数が多い。畳平へ着くやいなや今来た道を少し戻って早速撮影。この咲き具合からすると肩ノ小屋周辺にはもう少しまとまって咲いているような気がして、とりあえず肩ノ小屋へ行ってみることとした。

山道の両側にはイワギキョウが点々と咲いていた。
イワギキョウだけでも40枚以上は撮っただろうか。

 鶴ヶ池から富士見岳、不消ヶ池を巡る登山道脇の砂礫地にはさすがに最盛期は過ぎたとはいえ、コマクサが彩りを添え、イワツメクサの真っ白な花がところどころに群落を作って咲いている。ミヤマアキノキリンソウ、ミヤマコウゾリナ、ダイコンソウ、ミヤマキンポウゲなど黄色の花も多い。

ヨツバシオガマ シナノオトギリ チングルマ ネバリノギラン
ミツバオウレン ミヤマキンバイ ヒメクワガタ ミヤマハタザオ

 雪田が残っている付近では初夏に見られるイワカガミやチングルマも僅かながら見ることができ、ヨツバシオガマやウサギギクなど盛夏の花に加えて秋口に咲くウメバチソウなども入り混じって真に贅沢な風景が広がっていた。

コイワカガミ ウサギギク コウメバチソウ コウメバチソウ
ミヤマダイコンソウ イワアカバナ ミヤマキンポウゲ コバイケイソウ

 肩ノ小屋から肩ノ小屋登山口を往復して夢中で撮影をしていたら予定時間を大幅に過ぎてしまい、剣ヶ峰へ登る時間がなくなってしまったので不消ヶ池付近から降りて畳平下のお花畑の散策路を回った。驚いたことにお花畑ではハクサンイチゲがまだ真っ盛り。近くに居たガイドさんに聴いたところでは、この辺りは遅くまで雪が残っていて、花が遅れて咲いたものだという。

ミヤマアキノキリンソウ カラマツソウ コケモモ 乗鞍岳
チングルマ アオノツガザクラ ハクサンイチゲ オンタデ

 帰路は道を変え、高山から東海北陸自動車道を経由することとしたものの、高鷲I.Cを過ぎたあたりから徐々に交通量が増え始め、白鳥から美並I.Cまで大渋滞。道路の情報板を見ても事故があった様子はなく、原因がさっぱりわからなかったが、ふと思い当たったのが、この日は夏休み最後の日曜日。子供づれの行楽客が多かったにちがいない。それに加えてマウンテンサイクリングin乗鞍大会の影響で乗鞍岳へ訪れた車が岐阜県側に集中したことも拍車をかけたようだ。

 普段なら飛騨清見から2時間もあれば一ノ宮I.Cへ着くはずが大幅に遅れて3時間以上かかってしまい、帰宅したのが午後9時近くになってしまった。いろいろ想定外の出来事はあったが、花だけは十分堪能でき、満足のいく山行きであった。




05年7月28日(木)〜29日(金)
 朝、5時半に自宅を出発して名神高速道路一宮I.Cに入り、東海北陸自動車道・飛騨清見I.Cから国道158号線を経由して、8時に岐阜県側シャトルバスの停留所「ほおのき平」に到着。売店で昼弁当や飲み物を買って、8時半のバスに乗った。

霧に浮かぶハクサンイチゲ


 畳平に午前9時30分到着。一昨日の台風7号が去って、空はカラリと晴れ渡り、気分爽快。今日は肩ノ小屋で宿泊して、明日ご来光を拝む予定なので、ゆっくり写真を撮ることができる。まずはお花畑へ行ってみた。ハクサンイチゲが満開で素晴らしい景色。そのほか、ミヤマキンポウゲ、ヨツバシオガマ、チングルマ、イワカガミなど、お馴染みの高山植物が今を盛りとばかり咲いていた。

コマクサ ハクサンイチゲの群生 イワギキョウ
イワカガミ イワカガミ アオノツガザクラ ゴゼンタチバナ

 この日は花巡りの途中で目にとまった景色だけを撮ることとし、翌日にゆっくり風景を撮るつもりでいた。ところが、いざ夜が明けてみると、天気予報では晴れの予定だったのに早朝から濃い霧に包まれて、ご来光はおろか風景も満足に撮ることができないぐらいだった。

お花畑から畳平 富士見岳付近 不消ケ池 鉢盛山遠望

 先日訪れた伊吹山や高ボッチ高原は、どちらも似たような花が多かったが、乗鞍岳のように3,000m級の山になるとさすがに咲く花も異なる。もっとも、前者は草原のような環境であるのに対して、乗鞍岳はゴツゴツとした岩場か砂礫地が多いから、生育する花もそれに適応できる種類になるのだろう。

ミヤマアキノキリンソウ チングルマ コバイケイソウ クロユリ ウメバチソウ

ハクサンボウフウ ミヤマキンポウゲ ネムロシオガマ ミヤマダイコンソウ

ヤマガラシ ヨツバシオガマ コバギボウシ ウサギギク ノアザミ

 富士見岳の近くの山路を歩いていたら、カメラマンが数人路上にカメラを向けていたので見てみると、ライチョウの母親が5羽の子供を連れて路を横切ろうとしているところだった。急いでレンズを望遠ズームに換えて写そうとしたが、ハイマツの中へ入っていってしまった。かろうじて撮ったのが左下の写真。右下は同じところで撮ったイワヒバリ。これは初めて見た鳥で、いい声で鳴いていた。

 写真は200mmズームで撮影したものだが、鳥が小さ過ぎて何が映っているかわからなかったので、トリミングして鳥の付近だけを残した。画像の大きさは原寸の4分の1以下になってしまったが、なんとか鳥の形だけはわかる。

ライチョウ

イワヒバリ


 翌日の朝は3時半に起床したものの、窓の外は星明りもない。それもそのはず、少し霧雨が降っていて、とにかく寒い。防寒用具を持ってこなかったので、スポーツシャツを2枚重ね着してその上にベストをはおったのだがそれでもブルブル。おそらく気温は10℃を下回っているだろう。

 しばらくすると霧雨が止んだようだったので外へ出てみた。風はビュービュー音を立てて吹きつけ、勢いよくガスが流れていく。視界はおよそ20mぐらいか。ご来光は諦めて部屋に戻り、6時まで眠ることとした。朝食時に山小屋の売店でポンチョ代わりの簡単なレインコート(ビニールシートに袖とキャップを付けただけの感じ)を買った。

 午前7時30分、相変わらずの霧の中を出発。お花畑は霧の中で何も見えない状態(写真左)。とにかく寒かったがレインコートのおかげでなんとかしのぐ事ができた。富士見岳、大黒岳を登ってみたがそれほど花は咲いていなかった。鶴ヶ池周辺を一周して1時間ほど花の撮影。ここでは散策路脇にたくさんのコマクサを見ることができた。


イワツメグサ ツガザクラ キバナシャクナゲ ヒメクワガタ
ミツバオウレン ミヤマカラマツソウ ミヤマハタザオ
ハイマツ オンタデ ワスレナグサ

 帰路は、畳平を9時半のシャトルバスで下山。平湯〜乗鞍高原〜野麦峠〜開田高原〜木曽福島〜中央自動車道・中津川I.C〜名神高速道・一宮I.Cというルートをとった。このルートは乗鞍岳へ来たときよく利用する道である。今回の写真の中で、コバギボウシ、ノアザミ、ワスレナグサは開田高原で撮影したもの。

 総走行距離430km、撮った写真の枚数約470枚。2日目が晴天に恵まれていたら、おそらく700枚にはなったと思う。ただ、予備のバッテリーパックを2つ持っていたものの、乗鞍岳で予備を1個使ってしまったので、電池がもったかどうか・・・。いろいろアクシデントはあったものの、まずは実り多い撮影旅行だったと言えるだろう。