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木曽駒ケ岳 |
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Vol.2
09年7月14日(火)
梅雨に入ってから野草の撮影もままならない日が続き、"どこかへ遠出したい"という想いが募っていた。今月の中旬には長野の山へ行こうと決めてはいたのだが、具体的な場所となると木曽駒か乗鞍かで迷っていた。現地情報を見るかぎり、どちらも残雪が多くて
"時期的にはまだ早い"
感じがしていたものの、ここ一週間で急速に雪解けが始まり、かなり山肌が見えるようになってきた。特に、木曽駒の千畳敷カールでは昨年より雪が少ないように見えたのでこちらに決定。
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木曽駒・宝剣岳
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例によって、自宅を出発したのは早朝3時半。中央高速道路に入ると時が経つにつれて空が明るくなり、雲も次第に薄くなってきた。前日見た天気予報ではこの日は曇りで時には雨が降るようなことも書いてあったが、一夜明けてみれば全く逆の天気になった。ラッキー!。5時半過ぎに菅の台バスセンターに到着。広い駐車場には乗用車が20台ほど来ており、それぞれの車では登山の準備に余念がない。
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キバナノコマノツメ |
キバナノコマノツメ |
ショウジョウバカマ |
ショウジョウバカマ |
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ハクサンシャクナゲ |
ハクサンシャクナゲ |
ミヤマキンバイ |
ミヤマキンバイ |
バスとロープウエイを乗り継いで千畳敷まで上がると、事前にネットで調べたとおり、かなり雪が解けていた。それでもまだ日が経ってなくて野草を見るなら宝剣岳へ登るより極楽平の方が花が多いような気がしたので、昨年と全く同じコースを辿ることにした。歩き始めに出会う花はやはりキバナノコマノツメ。上に行くにつれて紫色をしたショウジョウバカマが登山道の両脇に姿を見せ始める。そのうち、ハクサンシャクナゲが咲いているのを見つけた。確か、去年は出会わなかったような・・・。高度が上がり、稜線が近くなるとミヤマキンバイも出迎えてくれた。
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極楽平から宝剣岳へ向かう途中のピーク
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見上げれば青空が広がり、気温も次第に高くなってきた。まさかこんなよい天気になるとは思わなかったので寒さ対策として長袖シャツの上にヤッケをはおって歩いていたが、8時にもならないうちに暑くなってきたので脱いでリュックに。稜線へ出ると昨年とは大違いでそよ風が吹いてまことに気持ちが良い。この気分を味わえるだけでも山へ登ったかいがある。この日は、せっかく山で撮る写真だからできる限り山の雰囲気も写し込みたいと考えていた。そのため、いつもの90mmマクロレンズの他に重いのは承知で交換レンズを2本も持参(10-22mmズーム,24-105mmズーム)してきた。
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タカネツメクサ |
タカネツメクサ |
イワツメクサ |
イワツメクサ |
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ハクサンイチゲ |
ハクサンイチゲは風当たりの強いところでは花弁のところどころがちぎれたようになっていた。昨年と比べると株がかなり多いような気がする。まだ咲き始めたばかりのようで、まばゆいばかりの花の白さがとても美しい。コマウスユキソウは相変わらず小さな体を空に向けて健気に咲いていた。ハハコヨモギはまだこれから見ごろを迎えるようだ。試みにミヤマキンバイとコマウスユキソウとのコラボも撮ってみたが、さて、さて、出来栄えは・・・というと、"気持はようワカルけど、イマイチやなあ"(笑)。
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コマウスユキソウ |
コマウスユキソウ |
ハハコヨモギ |
ハハコヨモギ |
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イワウメ |
イワウメもところどころで見かけたものの、まだ時季が早かったのか、"絨毯を敷き詰めたような"群生とまではいかない。ただ、咲いている場所が登山道から少し離れたところに多いのはカメラマン泣かせ。この花は、葉と花のバランスがとれていないというか、"唐突に花がそこにある"という感じなのでいつも撮影には苦労する。この写真のようにポツポツ咲くというのではなく、一面の群生を見てみたいものだ。
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三沢岳分岐付近の稜線から御嶽遠望
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このコースを選んだ大きな理由は、イワウメとともに見られるチョウノスケソウがあること。こうして写真で見ると大きな花のように見えるかもしれないが、チングルマとそれほど大きさは変わらない。うっすらクリーム色がかった花の色がなんとも清楚で、いかにも高山に咲く花という感じがする。ただ、これも数はそれほど多くなく、咲いている場所も限られているので盗掘などにより絶えてしまわないよう大切に見守りたい。
白っぽい花が多く見られる中で、ミヤマシオガマの鮮やかな赤紫はひと際目立つ。群れをつくって咲くのか、株自体が大きいのか、10輪前後の花が固まって咲く姿はまさに華麗そのもの。7月中旬ともなればチングルマが真っ盛りと思いきや、なんと見ることができたのはたった1カ所だけ。もっとも歩いている場所が砂礫地だからこんなものなのかも。ミネズオウをはじめ、コケモモ、イワヒゲ、ツガザクラ、アオノツガザクラといった岩肌に咲く花はこれからというところ。
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ミヤマシオガマ |
ミヤマシオガマ |
イワベンケイ |
チングルマ |
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ツガザクラ |
イワヒゲ |
アオノツガザクラ |
アオノツガザクラ |
木曽駒の千畳敷カールは、冬の厳しい姿とともに夏の緑と花につつまれた華麗な姿、秋の紅葉に彩られた姿、それぞれに趣があって目を楽しませてくれる。そういう意味では、訪問したときは冬の姿から夏の姿へ衣替えする途中であったかもしれない。それにしても宝剣岳を中心とした木曽駒の猛々しい姿は、天候の如何にかかわらず見る者に感動を与えてくれる。それは、ここに来た者にしか味わうことができない心のトキメキなのかもしれない。
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午後になってガスが出てきた千畳敷
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さて、もう下山のことを考えなくてはならない時間となった。宝剣岳を目の前にして聳える小さなピークには、御嶽を遠望できる崖っぷちにミヤマキンバイが咲いていた。いろいろと構図を変えながら20枚近く撮っただろうか。そのうちの2枚をここに載せた。キバナノコマノツメもなんとか"山に咲く姿"をと、探したけれど、お誂え向きに咲いてくれている花などそんなにあるはずもなく、かろうじて撮れたのが次の2枚。
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ミヤマキンバイ |
ミヤマキンバイ |
キバナノコマノツメ |
キバナノコマノツメ |
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コイワカガミ |
コイワカガミ |
ハクサンイチゲ |
ハクサンイチゲ |
ロープウエイの駅まで戻ってから、千畳敷へも向ってみた。宝剣岳から降りてきた人に上部の花の具合を尋ねると、やはり花の種類も数も少ないようだった。上ヘ行くのは諦めてまたロープウエイ駅に向かう。去年と同じように、ヒメイチゲがハイマツの陰に隠れて数輪咲いていた。駅舎のすぐ近くに青紫色のごく小さな花をみかけた。いろいろ調べてみたらどうやらヒメクワガタ。花の大きさはせいぜい2,3mmと、とにかく小さい。クロユリもこれからが本番のようだ。
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ミヤマキンポウゲ |
ミツバオウレン |
ヒメイチゲ |
ヒメイチゲ |
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ヒメクワガタ |
ヒメクワガタ |
ムカゴトラノオ |
クロユリ |