伊吹山麓・3月の野草  

Vol.1


06年3月11日(土)
 3月上旬の伊吹山はまだ冬の中。山麓の野や畑には雪が消えていても、ちょっと林の中や山間に入ると所によって膝の辺りまでも雪が残っている。今回は、もしかしたら雪の中に咲くセツブンソウが見られるかもしれないという期待を抱いて、伊吹診療所の先生に教えていただいたポイントへ地図を頼りに行ってみた。

 道の脇に車を止めて山側を見ると、林と段々畑の間にそれらしきところがあり、畑で作業をしていた人に声をかけたところ、紛れもなくそこが第1の撮影ポイントだった。聞いてみると、昨日ここを訪れた人たちがセツブンソウの咲いている場所を踏み荒らしてしまったので縄張りをしているのだという。

 "写真を撮らせていただけますか" とお願いしたところ笑顔で了解していただけた。林縁の斜面にはセツブンソウがうなだれたような姿で咲いている。"昼過ぎになると上を向いて咲くんだけどねぇ" と教えてくれた。"この畑の雪が溶ければセツブンソウが一面に咲くよ" "今年は雪が深くて去年と比べて1ヵ月近くも遅れている" とのこと。

セツブンソウ。花は少し小ぶりだが瑞々しい感じで咲いていた。


 いろいろ話していたら、第2の撮影ポイントに案内をしてくれた。そこは日当たりが良くないせいか、ほとんどの花が下を向いていた。"もう少し時間が経ってから来たほうがいいね" ということだったので、この近くにある第3の撮影ポイントの場所をご存知かどうか訪ねたところ、目的地の方を指差して、"あの家の○○さんがよく知っているから訪ねてみるといい" と親切に教えてくれた。

 現地へ着いてその家の前まで行くと、ちょうどそこに老人が乗った自転車が止まり、こちらが何も言わないうちに "ご案内しますからちょっと待って" と言って家の中に入ったと思ったらすぐ出てこられて "こちらです" とスタスタ家の裏側へ向かって歩き始めた。多分、首からカメラを提げていたのでそれと察してのことだろうとは思ったが、正直、びっくりした。

 そこは先程撮影した場所よりかなり広いところで、畑のあちこちにセツブンソウが咲いている。木立の中には雪が残っていて、その間から身を伸ばすようにして咲いている花もあった。案内されるままに花の間を巡り、思う存分撮影することができた。

ところどころに残った雪の中に咲くセツブンソウ。

 花を撮影している間にも、指笛で鳥の鳴き真似をしたり、どこからか鹿の角を持ってきて見せてくれたりと、いろいろ楽しませていただいた。お礼を言って辞去し、もう少し周辺を見てみようと車を走らせた。少し行くと、道端から下がったところの畑に黄色の花が見えたので近づいてみると、フキノトウが点々と咲いていた。傍にはオオイヌノフグリも青い小さな花をつけていた。

フキノトウ オオイヌノフグリ

 この後、第2の撮影ポイントに再度立ち寄って撮影してから、ふと思いついて伊吹町薬草の里文化センターにある薬草園に寄ってみることとした。立派な文化センターの南側にはいろいろな薬草が植えられていたがどれも花期には早いらしく、まだ花をつけるにはいたっていない。傍に小さな池があったので周囲を歩いてみると、ちらほらと春の花があった。

ヒメオドリコソウ ハコベ タネツケバナ オオイヌノフグリ

inserted by FC2 system