東三河・春の野草  

Vol.27


11年02月08日(火)
 昨年、伊豆で知り合いになった方のホームページに林健太郎さんという方の野草写真の個展が開催されるという記事が紹介されていた。そこに添えられていた写真がとても良い雰囲気だったので浜松市まで出かけることにした。開場が11時ということで、しばらく時間があったので途中に寄り道をして、路傍に咲く花を撮った。イヌノフグリは昨年も見に訪れたのだが、撮った写真はもうひとつ納得のいくものでなかった。今回こそは、と思って勇んで現地へ行ったものの、数が減っている上に花が開いていたのはたった1輪。傾斜地に咲いていたので常に身体が滑り落ちそうになる中での撮影。

ナズナ イヌノフグリ イヌノフグリ イヌノフグリ
タネツケバナ マメカミツレ キュウリグサ キュウリグサ

 個展に出品されていた写真は、そのどれもが情感あふれる作品ばかりで、かねがね私が「風景の中に野草があるような写真、野草の自生している環境が想像できるような写真を撮りたい」と思っていた、まさにイメージ通りの写真の数々を目の前にして大変感動を覚えた。

 思うに、今まで沢山の写真を撮ってきたが、ホームページ・ブログ用、野草図鑑用と用途を決めて撮影することが多かったような気がする。それはそれで悪くはないのだが、そうするとどうしても「どうせPCのディスプレーで見る写真だから、まっ、こんなものか」と、ついつい妥協が入ってしまう。それに、ホームページ用の拡大写真でもせいぜい横幅が640ピクセルと小さいので、無意識のうちにメインの花を大きく撮ろうという意思が働き、結果的に図鑑風写真のような風情の乏しい写真となりやすい。

 写真を撮るうえで、ピント位置・構図(カメラポジション・アングル、フレーミング)を被写体に最もふさわしい設定にすることはどんなジャンルの写真でも共通のことながら、野草の場合、それに加えて露出の値がより重要な要素となる。さらに撮影意図に見合ったレンズを用いることが肝要で、そうした意味から言えばレンズの特性を予め理解し、撮影に際して的確に選択することも忘れてはならない。今回、個展を見て得た感想は、良い写真を撮ろうと思うのなら、プリントアウトして作品展などに出品しても観賞に耐え得るような写真を撮るという心構えで野草に向き合わなければいけないということを痛感した次第である。



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